コロナ禍中にDMO・観光局が発信する「ステイホーム」事例をまとめてみた【国内編】

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止で、外出・旅行の自粛が求められている。各地で観光推進に取り組むDMOや観光協会は、地域へ「来てください」と声高に誘客ができないなかで、旅行者とのつながりを維持し、将来の旅行に対する意欲喚起を図る新たなアプローチが求められることになった。

一方で、観光客がいなくなった観光地では、宿泊や飲食、土産販売など、地域の魅力を伝える受入れ事業者の経営維持と同時に回復期にいち早く反転攻勢に備える準備も必要だ。DMOや観光協会の取り組み事例をピックアップしてみた。

自宅で頑張る人々に寄り添う気持ち

外出自粛要請に応えて自宅で過ごす人々に向けて、DMOや観光協会が始めた取り組みを大きく分けると、(1)自宅で観光気分が得られるコンテンツ提供、(2)地域事業者の経営支援になるような飲食・地域産品等の販売先の特集やリンクページの制作、(3)ファンに対する地域の魅力が伝わる画像投稿等の呼びかけ、の3つが主流だ。

この中で、切り口がユニークな取り組みの1つが、神戸観光局の「五感で神戸 Feel KOBE at home」。注目スポットや地域産品の販売サイトのリンクを特設ページで掲載するものだが、本来は実体験だから認識できる五感で訴求することで、その感覚を想像したり、体験してみたい気持ちを想起させる。

神戸公式観光サイト「Feel KOBE」内「五感で神戸」

神戸観光局「五感で神戸」

また、長野県観光機構では7都府県での緊急事態宣言が発効となった4月8日にいち早く、自宅での時間をハッピーにする「#おうちでながの」プロジェクトを開始。その一環として先ごろ、子供に焦点を当てた特設ページを公開した。当該事業者の協力のもと、県内各地の動物園や人形劇の動画やぬり絵などを掲載した。

長野県公式観光サイト「GoNAGANO」内「#おうちでながの」プロジェクト子供向けコンテンツ特設ページ

長野県観光機構「#おうちでながの」プロジェクト子供向けコンテンツ

このほか、沖縄観光コンベンションビューローや京都市観光協会では、地域の魅力が感じられる動画や特集記事などに加え、沖縄では「カチャーシー」の踊り方講座、京都では妙心寺退蔵院による座禅講座など、学びながら地域らしさを体験できるコンテンツを用意した。

沖縄観光情報WEBサイト「おきなわ物語」内「おうちでおきなわ気分」

京都市観光公式サイト「京都観光Navi」内「Stay Home, Feel Kyotoキャンペーン」

さらに、コロナ後の変化に対応することを見据え、事業者向けの取り組みも行なわれている。

インバウンドを対象とする静岡ツーリズムビューローでは、観光事業者を対象にしたオンラインセミナーを実施。海外事務所等の現地情報やツーリズムマーケティングの知識で考えた今すべきことを共有するもので、1回目の好評を受け、5月12日にも同内容での開催した。

静岡ツーリズムビューローのウェビナー(取材記事)

「待たずに攻める」取り組みも

国内のDMOや観光局の取り組みでは、外出自粛要請に応えて自宅で頑張る人々を応援するという方向性が多い。

例えば、前述の長野観光機構では「こんな状況でも子供たちが健やかにのびのびと楽しく暮らせるよう、心から願っています」との思いを寄せている。地域として来訪の自粛を呼びかけるなかでは、積極的に観光地の魅力を伝えるのは難しく、多くのDMOや観光局が、刻々と変わる状況や世の中の風潮に相応しいアプローチに苦慮していることがうかがえる。

そのなかで、新たな動きも見えてきた。小樽観光協会では公式サイトとは別に、ファンサイトを開設した。同サイトでも、観光名所の記事や産品の販売サイトのリンクなどを掲載するが、観光情報を紹介する公式サイトとは異なり、楽しむ時間を育てるためのサイトと位置付ける。コンセプトは「(コロナの収束や経済回復、相手の興味が向くのを)『待つ』のではなく、こちらから『届ける』」こと。コロナ後の復興とその先を想定し、従来の枠組みを超えた統合型の情報発信を展開するとしている。

小樽観光協会・ファンサイト「キタル、オタル」 

小樽観光協会・ファンサイト「キタル、オタル」 

その他、国内DMO・観光局の「ステイホーム」対応の一例は以下の通り。

滋賀の風景が楽しめる動画やお取り寄せ、テイクアウトのリンク先のほか、今期のNHK大河ドラマで描く明智光秀ゆかりの地として「おうちで楽しむ滋賀の戦国 近江の城50選」にも注目

音声メディアでイベントや観光ガイド、土産情報など、観光の魅力を伝える新たな試み。新型コロナウイルスの影響下で、自宅で小諸の魅力に触れるバーチャル旅行も提案、第1弾は温泉かけ流し音を癒しのサウンドで

東山動物園やブラザー工業など、名古屋の事業者が行なう「ステイホーム」へのリンク先を集めたページ。「今だから楽しめる名古屋」のキャッチが前向き

特別天然記念物である秋芳洞と秋吉台の景観をVRで楽しめる。ステイホームで簡易型VRゴーグルのプレゼント企画の実施も

観光の魅力付けや環境整備に努めてきた観光地が旅行の自粛を訴える、その気持ちがシンプルに伝わってくる美しい30秒強の動画。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。