生まれ変わる「かんぽの宿」、地域とのコラボ重視や「誰でも泊まれる宿」に、伊豆高原と鴨川の施設を大規模リニューアル

日本郵政は、「かんぽの宿 伊豆高原」と「かんぽの宿 鴨川」を大幅リニューアルし、来春にオープンする。同社は2018年から3年をかけて全33施設のリニューアルを進めており、小規模改装でオープンする「かんぽの宿 鳥羽」と「かんぽの宿 赤穂」を合わせて、すべてのリニューアルが完了することになる。

かんぽの宿の新しいテーマは「きっと、その土地が好きになる。」。同社執行役の櫻井誠氏は会見で「気軽に行ける温泉として、地域とともに新しい未来を作っていきたい」と話し、日本郵政グループとして、かんぽの宿を通じて地方創生に貢献していく考えを示した。

かんぽの宿の事業規模は、全約1900室で昨年の宿泊客はおよそ100万人。平均単価は1万2700円。櫻井氏は、かんぽの宿もコロナ禍の影響を受けていると明かしたうえで、今後もかんぽ生命保険加入者限定の宿泊施設としてのイメージを払拭し、「誰でも泊まれる宿」として訴求を強めていく考えを示した。また、インバウンドの割合が1%程度にとどまっていることを「大きな課題」として挙げた。

このほか、ウィズコロナ時代の取り組みとして、施設の感染防止対策の徹底に加えて、新たな商品として16施設で駐車場を車中泊として開放する「くるまパーク」を展開していると説明。また、地域の観光拠点とのコラボも強化しており、山梨県石和では、地元のワイナリーとタッグを組み、宿泊客にワインのテイスティング体験などを提供していることも紹介した。

櫻井執行役(右)と石橋宿泊事業部次長プレミアムな「伊豆高原」、カジュアルな「鴨川」

「かんぽの宿 伊豆高原」は2021年4月1日グランドオープン。客室数は、プレミアムな宿泊をコンセプトとするため、従来の59室から55室に減らした。全室オーシャンビュー。プレミアム棟22室とスタンダード棟33室にわかれ、プレミアム棟は全室露天風呂付きでスィートルームも4室用意する。ターゲットは首都圏の富裕層に定める。

伊豆高原の客室イメージ図(報道資料より)一方、「かんぽの宿 鴨川」は2021年3月6日にグランドオープンする。客室数は103室のカジュアルな宿泊施設として打ち出し、首都圏のファミリーなど幅広い層をターゲットとする。リニューアルのポイントとしては、客室を和洋室のモダンな内装にリノベーションしたほか、従来の展望大浴場に加えて、松林に面した1階にも新たに浴場を設けた。また、リニューアル前から人気があったペット同伴のドッグルーム2室はそのまま残した。

鴨川の客室イメージ図(報道資料より)同社宿泊事業部次長の石橋栄市氏は「地域とのコラボはこれまでできてこなかった。リニューアルオープン後は、宿泊にプラスして、地域のさまざまな体験を提供することで、現在主流の1泊2日から連泊してもらえる施設にしていきたい」と豊富を語った。

両施設とも11月1日から予約の受付を開始。来年1月には地域とのコラボによるアクティビティ内容を発表する予定だ。

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