観光産業の最大イベント「ツーリズムEXPO2020」が沖縄で開幕、緊急事態宣言後の大型MICEとしては初、観光の復活と新時代に向けて

観光産業の大型イベント「ツーリズムEXPOジャパン(TEJ)2020」が10月29日に開幕した。今年のTEJは沖縄では初開催であり、緊急事態宣言後、沖縄県として初めての大型MICE。withコロナ時代のMICE開催や誘致にあたっての試金石だ。世界の観光イベントのほとんどがバーチャル開催となる中、リアルとバーチャルの融合での挑戦は国内外で注目が集めている。

初日の開幕セレモニーでは、世界各国の観光リーダーがリアルでの登壇、またはリモートでメッセージを寄せ、ニューノーマル時代の観光推進と新たなモデル構築に向けた力強い意見を述べた。これまで、withコロナ時代の観光推進は感染防止対策を模索しながら、静かに取り組むケースが多かったが、産業として一段ギアを上げた。ニューノーマル時代にあわせた観光戦略や旅行スタイルで、積極的に観光を推進する転機として象徴的なイベントになりそうだ。

主催者会見では、日本旅行業協会(JATA)会長の坂巻伸昭氏が、コロナ禍にある今年開催する意義に言及。「人が動かない、集まらないことが、観光業界のみならず地域経済に非常にな影響を与えた。逆に考えれば、人が動く旅の力は非常に大きなものがある。ニューノーマル時代の観光復活の象徴的イベントとしたい」と強調した。

主催者会見後のフォトセッション開会式では内閣総理大臣の菅義偉氏や国土交通大臣の赤羽一嘉氏が祝電やビデオでメッセージを寄せた。菅総理は「多くの人が全国津々浦々を訪れることで地域が元気になるよう、落ち込んだ観光需要の回復に政府として全力で取り組む」と、観光業界への力強いサポートとともに、その効果への期待を寄せた。

沖縄県知事の玉城デニー氏もウェルカムメッセージ

観光復活へ、世界の観光リーダーが事例を共有

世界の観光リーダーからは、観光の重要性とともにコロナによる深刻な状況も説明。観光は世界で10人に1人の雇用を生み出し、世界経済の10%に貢献しているが、ビデオでウェルカムスピーチを行った世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)理事長兼CEOのグロリア・ゲバラ・マンゾ氏によると、コロナによって世界中で1億2100万人の雇用が影響を受け、それが年末までに1億9700万人に増える見通しだという。

その上でマンゾ氏は、「海外旅行の再開が極めて重要。ワクチンの準備が整うのを待っていられない。そのためには、いかにコロナの輸出と輸入を防ぐかが最優先事項。コロナとの共存を学び、消費者の信頼を回復して、健康を維持し、命を守りながら旅行を再開できる」と、万全な体制を構築し、ウィズコロナで国際観光を進めていくことを訴えた。

WTTC理事長兼CEOグロリア・ゲバラ・マンゾ氏

国内外のコロナ対応やベストプラクティスを同じ場所で共有できたのも、今年のTEJの大きな意義だ。

基調講演にビデオでオンライン出演したフィリピン観光大臣のベルナデット・ロムロ・プヤット氏によると、フィリピンでは先般、ボラカイ、エルニド、パラワンなどの主要観光地の旅行を再開。旅行者に対して、出発72時間前のPCR検査で陰性であることと、観光客とコミュニティを保護するために旅行者の行動追跡をするデジタル監視システム「ビジットプログラム」を構築した。ホテルと飲食店向けの予防管理デジタルソリューションも開発するなど、ニューノーマルな観光促進に向け、デジタルを活用した安全対策を講じている。

プヤット氏は「コロナ対応に取り組むことで、大きく前進した。ニューノーマルの下でより強靭で、より持続可能な産業への道を追及していく。強く、安全に、責任をもってともにコロナ禍を乗り越えよう」と呼びかけた。

日本国内でも観光再開が加速

沖縄の今後の観光推進策について説明した沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)会長の下地芳郎氏は、緊急事態宣言解除後、沖縄が観光推進を「防疫型観光」と「質の向上(単価向上)」の2つを柱に軸を変えて行なってきたことを説明した上で、このほど、国内旅行者は今年度に前年比4割にあたる370万人への回復を目標に設定し、インバウンド再開への取り組みも強化することを明言した。インバウンドは、来年3月に3000名の受入れを目標とする。

一方で、国のコロナ接触確認アプリ「COCOA」に加えて、LINEを活用した県のコロナ対策パーソナルサポート「RICCA」を構築し、市中感染防止の取り組みも行なった。下地氏は持続可能な観光に向け、住民目線で観光を考えることの重要性を指摘しながら、「沖縄観光の復興が日本の観光復興のモデルになると思っている」と力強く推進していくことを説明した。

OCVB会長の下地芳郎氏

持続可能な観光の成長へ、考えるべきこと

インターナショナル・ツーリズム・フォーラムには、スペイン大使、タイ王国大使、エジプト大使らとともに観光庁国際観光部長の金子知裕氏、日本政府観光局理事長代理の吉田晶子氏、JTB代表取締役社長の山北栄二郎氏が登壇。コロナ危機を乗り越え、強靭で持続可能な観光成長を目指す議論が行われた。

JTB山北氏は、まず観光復活に向けて日本政府がGoToトラベルキャンペーンで大きく支援していることに「(観光産業にとって)本当にサポートになっている」との感謝の意を述べた。そして、次の課題が「海外旅行の再開」だと指摘。「再開は、そのための準備をする過程がツーリズムを考え直す良い機会になる。観光のプラットフォームに関わるエコシステムを将来に向けて作っていく」ことを提言した。

また、コロナ時代を乗り越え、さらに継続的に推進すべきこととして観光のデジタル化も提言。デジタル化は、感染防止策を講じたり顧客体験をよりよくしていくエコシステム構築への重要なポイントであり、これまで予約のプロセスを重視してきた旅行業が旅行前から旅行後に至るカスタマージャーニーをよりよくしていくために不可欠であると語った。

フォーラムの様子日本政府観光局の吉田氏は、海外からの旅行者が日本を訪れるために必要なこととして2つのポイントを指摘。ひとつめは「安心・安全」であること、ふたつめは「日本人に歓迎してもらえる」ことだ。旅行者が旅先を選ぶうえで、歓迎ムードは重要であり、そうした状況をつくるためには、日本人側も外国人が日本に来ても大丈夫と思える環境が必要。そのためには吉田氏が「双方向でコミュニケーションを行っていくことが不可欠」とした。

このほか、各国大使が提言した詳細のフォーラムの様子は後日レポートする。

ツーリズムEXPOジャパン2020は10月29日~11月1日まで開催。今年は規模を縮小し、完全予約制で実施。業界日で2000人、一般日は午前と午後5000人ずつの2万人の来場を見込み、感染症対策とQRコードを活用した入退場管理のもと、運営をしている。

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