ANA、中距離国際線の新ブランド「Air Japan」を発表、2023年度下期就航へ、FSCとLCCの中間価格、アジアからの訪日客狙う

ANAホールディングスは、中距離国際線を運航する新ブランド「Air Japan」を発表した。気遣い、思いやり、やさしさの意味を込めた「Fly Thoughtful」をコンセプトに、フルサービスキャリア(FSC)とLCCの特徴を組み合わせ、成田空港を拠点にアジア・オセアニア路線で2023年度下期の就航を目指す。

同社では、2020年10月にビジネスモデルの変革を発表。その中で、エアライン事業としてANAとPeach Aviationに加えて、エアージャパンを母体とした第3ブランドを立ち上げることを明らかにしていた。新ブランドでは、エアージャパンの名前をそのまま残し、コンセプトのほかにロゴやサービス内容を一新した。

エアージャパン社長の峯口秀喜氏は発表会見で「日本のエアラインであること、ジャパンクオリティをシンプルに、分かりやすく伝えるために名前の変更は行わなかった」と説明。ANAは、これまで通りエアージャパンとしてアジア・リゾート路線を運航するほか、新ブランド「Air Japan」も運航。統一の安全規定基準のもと、客室乗務員も併用していくなど、「日本で初めて、ひとつの航空会社が2つのブランドを運航することになる」。

新しいく発表されたロゴは、Air Japanの「r」と「J」の文字を、手と手が織り成すやさしさ Thoughtful として表現。ブランドカラーは日本の伝統色「藍色」と「曙色」を組み合わせた。

ブランドコンセプトは「Fly Thoughtful」

アジアからのインバウンドが第一ターゲット

峯口氏は、Air Japanのサービスとして「自分の好みで選べるサービスと居住性に重きを置く」考えを示した。FSCのサービスをオプションで用意し、利用者の好みと必要性に応じて選んでもらい、必要のないサービスを削ることで、利用者の費用低減につなげていく。

機材は、ANAの国際線仕様ボーイング787-8を約300席に改修し、就航後は年2機ずつ増やしていく計画。当初は2022年度を目途に就航する予定だったが、新型コロナウイルスの長期化に加えて、既存機の改修による運航を決めたことから、2023年度下期にずれ込んだという。

また、価格については、FSCとLCCの中間として、「ANAよりは安い価格設定をしていく。オプションを購入しない利用者はかなり価格を抑えることができるのではないか」との考え。需要動向、シーズンなどによって柔軟に価格設定を変え、レベニューマネージメントを強化することで、収益を上げていく。さらに、収入源として貨物の搭載も今後調整していく方針だ。

顧客ターゲットとては、まずコロナ収束後のアジアからのインバウンド旅行者を挙げ、「若いファミリー層、学生などのレジャー客をイメージしている」と話したうえで、「利益確保に向けては搭乗率80%程度を確保したい」と続けた。

Air Japanは、アジア・オセアニアで路線展開する予定だが、就航地については、Peach Aviationが展開する日本から4時間以内を超える路線を想定。峯口氏は、収益の要は機材の稼働率との考えを示したうえで、「短距離と組み合わせることもあるだろう。ANAグループ全体で最適化を進めていきたい」と発言。さらに、インバウンド旅行者の取り込みでは、成田でPeach Aviationの国内線と接続することも想定し、「今後グループ内で何ができるか検討していくことになる」と付け加えた。

このほか、Air Japanという名称は、外国人旅行者にはJapan Airlines (JAL)と混同される恐れがあるが、「ブランドを全面に打ち出して、違いを強めていく」と話すにとどめた。

サービス内容、運賃、路線などの詳細は後日発表する予定。峯口氏は「アフターコロナのニューノーマルでは航空の姿は変わる。新しいモデルを作ることで。選ばれるエアラインになる」と意気込みを示した。

「FSCでもLCCでもない、全てにやさしいエアラインを目指す」と話す峯口氏(右)

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