航空業界でサステナブルな航空燃料(SAF)が重要視される理由とは? 脱炭素への取組みを聞いてきた

定期航空協会の井上慎一会長(全日本空輸代表取締役社長)は、持続可能な航空業界への挑戦をテーマに、「ツーリズムEXPOジャパン2022」で基調講演を行った。「航空産業が排出するCO2は全体の2%にすぎないが、人類のサステナブルのために貢献していく必要がある」と話し、航空業界として、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させていく重要性を強調した。

日本の航空会社は、国内線では、日本政府が打ち出している2050年のカーボンニュートラル宣言に則り、CO2排出量実質ゼロを目指しているところ。国際線では、国際民間航空機関(ICAO)が定めたCO2のオフセットスキーム「CORSIA(コルシア)」に従って削減を進めている。

持続可能な航空燃料(SAF)が最重要

井上氏は、「航空輸送の脱炭素は技術的に非常に難しい」と述べたうえで、IATA(国際航空運送協会)が掲げる2つの視点を説明。持続可能な航空燃料(SAF)の活用、運航上の工夫、新技術の導入、排出権取引などを組み合わせて脱炭素を実現していくことに加えて、CO2排出は一つの産業では解決できないことから「国、投資家、他産業、利用者との連携が必要となってくる」と訴えた。

そのうえで、「最も大きな役割を担うもの」として、SAFの重要性を指摘。SAFは、地上にある廃棄物のライフサイクルで生産されるうえ、既存のインフラでの供給が可能で、航空機の内燃機での運航も可能なため、カーボンニュートラルには欠かせないとした。

日本の航空業界でもSAFの認知度向上に向けて、ANAとJALが共同リポートを策定。井上氏は「社会インフラとして次世代に残していくために、引き続き両社で協力していく」と強調した。

また、SAFの普及に向けては、オールジャパンでの取り組みが求められると強調。2022年4月には国土交通省航空局がカーボンニュートラル推進室を設置し、『持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会』が省庁横断で発足するなど、サプライチェーンでの課題解決に向けて動き出していることを紹介するとともに、産業間の連携では、ANAが進めている「SAF Flight Initative」でのパートナー企業との連携や産業セクターの垣根を超えた取り組みとして「ACT FOT SKY」の設立にも触れた。

国産SAFの量産化が大きなカギ

さらに、今後については、日本製のSAFはまだ商業化されていないことから、「国産SAFの量産化はカーボンニュートラル実現に向けて大きな鍵を握る」と主張した。

一方、SAFは最大で90%のCO2削減に貢献すると期待されているが、それだけで排出量ゼロを実現するのは不可能として、DAC (Direct Air Capture)などの新技術など複数の手法を組みわせていく必要性も訴えた。

このほか、サステナブルツーリズムについても言及。「コロナ禍で自然へのニーズが高まっている。旅行のニーズは変わってきた。消費者のニーズを捉えて、滞在先でのサステナブルを提案するなど、地域と一体となって新しい観光のスタイルを提供していきたい」と話し、サステナブル旅行の価値創造にも意欲を示した。

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