観光庁、「観光DX推進のあり方」で中間とりまとめ公表、「旅行者の利便性・周遊促進」、「観光地経営の高度化」など4つの柱で

観光庁は2023年1月20日、「観光DX推進のあり方に関する検討会」の中間とりまとめを公表した。観光産業の生産性の低さや、観光地における旅行形態や消費者ニーズの変化への対応の遅れといった課題を、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進で解決を図っていくために、検討会を設置し討議をおこなっているもの。

検討会では、観光地におけるDX推進に向け、「旅行者の利便性向上・周遊促進」「観光地経営の高度化」「観光産業の生産性向上」「観光デジタル人材の育成・活用」の4つの柱で検討した。現状や課題を整理し、それぞれ将来ビジョンを設定、解決の方向性を取りまとめた。

具体的には、「旅行者の利便性向上・周遊促進」は、旅行者の情報収集や予約などにおける不満の解消、タイムリーなレコメンドによって、旅行者の利便性向上や周遊促進を促し、旅の満足度向上や消費額増大が図られている状況を目指す。解決の方向性としては、地域のブランドに適した一体感あるサイト構築、複数のステークホルダーと連携し、メリットある予約・決済、チケット、マップなどとの組み合わせなどを挙げた。

「観光地経営の高度化」のDXで目指すのは、収益などのデータに基づき、観光地が優先して取り組む事項が盛り込まれた経営戦略を策定したうえで、持続可能な形で観光地経営がおこなわれている状況。CRMやDMPを活用したマーケティングはもちろん、地域関係者の巻き込み、DMOの規模や特性に応じたナレッジの横展開を図ることも重要とした。

また、「観光産業の生産性向上」の将来的なビジョンは、低い生産性、収益性、低賃金、かつ人手不足という負のスパイラルを脱却するため、DXによる生産性向上を通じて、収益力強化、従業員の労働環境・待遇の改善を図り、優れた人材がさらなる生産性向上の取り組みを推進する正のスパイラルへの転換が図られること。複数の事業者を巻き込んだ地域単位でのレベニューマネジメントを実施することが重要とした。

最後に、「観光デジタル人材の育成・活用」は、解決の方向性として関係者が高いデジタルリテラシーを持ち、仮説とデータ分析に基づいて意思決定できる人材を確保できている状況であり、外部専門家の登用およびプロパー人材の採用強化、産学連携の抜本強化によるリカレント教育の推進という2つの取り組みを進めるべきとした。

中間とりまとめの内容を踏まえ、2023年度内に将来ビジョンの実現に向けた討議をおこない、最終とりまとめを公表する予定だ。2024年度以降、具体的な支援策を講じる。

詳細は下記のとおり。

中間とりまとめ「観光DX推進のあり方に関する検討会」(PDFファイル、34ページ)

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