フランスが進める航空運賃の下限制度は実現するか、EU諸国でも温度差、LCCに大打撃の可能性

写真:ロイター通信

フランス政府は、航空業界の二酸化炭素排出量削減を促す目的として、航空運賃の下限制度を導入する考えを明らかにし、欧州連合(EU)加盟国に支持を求めた。

しかし、航空輸送に大きく依存している島国や格安航空券によって観光産業が潤っているEU加盟国から十分な支持を得るのは難しいかもしれない。

フランスのクレマン・ボーヌ運輸大臣は、その目的について「社会的公正性および環境の面で航空運賃についての議論を開始すること。航空運賃を今の10倍にするという話ではない」と述べている。

EU当局は、ロイター通信に対して、オランダやベルギーなどは原則としてこの考えを支持していると明かした。オーストリアは、以前に運賃下限の導入を目指したが、法的なハードルが立ちはだかったという。

現在、航空燃料税を巡るEU加盟国間の協議は行き詰まっており、来年はEU総選挙があるため、有権者に対して航空運賃の引き上げにつながる法案を支持する国が現れるかどうか疑問が残る。

この措置が正式に承認されれば、ライアンエアーのように格安運賃で勝負するLCCは大きな打撃を受けることになる。

ライアンエアーは、ベルギーが500キロ未満のフライトに乗客1人当たり10ユーロ(約1570円)の税金を導入し、EU路線では出発乗客1人当たり2ユーロ(約314円)の徴収金を導入したことを受けて、料金と税金の値上げを理由に、昨年の冬の期間、ブリュッセルのザベンテム空港にある航空機基地を閉鎖した。

一部の業界団体はこの計画に反対している。 エアラインズ・フォー・ヨーロッパは、EU加盟国に宛てた書簡の中で、運賃下限制度は航空会社が自由に運賃を設定できると定めたEU法に違反するとの見解を示した。

※ユーロ円換算は1ユーロ157円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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