
フランスのパリ・イル=ド=フランス(パリ地域圏)への海外からの投資促進を担う「チューズド・パリ・レジオン(Choose Paris Region)」がこのほど来日し、観光を含めた日本からパリ地域圏への投資状況について説明した。
今回の来日は、大阪・関西万博の視察を含め、観光、ビジネス、文化、教育、研究開発など幅広い分野で日本との関係強化を進めるのが目的。関西では、関西広域連合とも意見交換し、今後、経済、イノベーション、持続可能な開発、文化交流、若者交流などで協力を拡大していくことを確認した。
チューズド・パリ・レジオンの主な役割は、海外投資の誘致、観光客の誘致、映像制作の誘致の3点。このうち、観光客の誘致について、チューズド・パリ・レジオン会長でパリ・イル=ド=フランス地域圏議会副議長を務めるのアレクサンドラ・デュブランシュ氏は、2024年の観光客数が前年比2%増の約4870万人、そのうち外国人観光客が同3%増の約2260万人で、その経済効果が約250億ユーロ(約4兆円)になったことを説明。「すでにコロナ前を上回る歴史的な記録になった」と評価した。
また、パリ地域圏全体で、2024年に映像が撮影された日数は延べ7500日にのぼり、現在も324件の制作を支援しているという。撮影によって、バリ地域圏での露出も増えることから、デュブランシュ氏は「制作誘致だけでなく、その映像を契機とした観光客誘致にも力を入れていきたい」考えを示した。
このほか、デュブランシュ氏は、米トランプ政権の政策による影響についても言及。「米国の動向は注視している。米国はイル=ド=フランスにとっても重要な国だが、観光客の誘致も含めて市場の多様化をしていく必要がある」との考えを示した。
チューズド・パリ・レジオンのデュブランシュ会長
日本人訪問者の動向に大きな期待
2024年の日本人旅行者については、訪問者数が40万5000人、消費額が3億3600万ユーロ(約544億円)。前年比では増加しているものの、2019年比では、訪問者数が26%減、消費額が30%減とコロナ前の水準には回復していない。デュブランシュ氏は、その要因としてウクライナ戦争の影響により長時間フライトとコスト高を挙げつつも、イル=ド=フランスへの日本人訪問数の回復率は日本の海外旅行市場よりも高く、日仏関係は引き続き強固であることから、「今後の動向には大きな期待を持っている」と話した。
そのうえで、日本市場の回復に向けては、2026年がクロード・モネ没後100周年にあたることから、「さまざまな企画を準備しており、日本の旅行会社の力を借りて、日本人旅行者の誘致を積極的に進めていく」考えを示した。
また、2024年12月に再開したノートルダム大聖堂をアピール。パリ五輪のレガシーとして、メトロ14号線が延伸されたことにも触れ、「地方への移動性が高まった」として、パリ地域圏内での観光客分散化にも期待を表した。
域内の観光コンテンツについては、チューズド・パリ・レジオン観光担当副局長のクリストフ・デクルー氏が紹介。スポーツツーリズム、ガストロノミー、文化イベントなどを紹介するとともに、日本人にも人気の現代美術館「ポンピドゥーセンター」がリニューアルで今年夏の終わりから2030年まで閉館するため、注意を呼びかけた。
また、MICEデスティネーションとしてのイル=ド=フランスについても説明。ビジネス関連の宿泊数は年間2150万泊にのぼり、インバウンド集客の柱の一つになっているとした。そのうえで、域内には会議・イベント会場22ヶ所、会議場併設のホテル25軒、会議室併設のホテル700ヶ所以上があるとして、受け入れ体制が整っていること紹介した。
※ユーロ円換算は1ユーロ162円でトラベルボイス編集部が算出