パリ・モンマルトルの丘で、オーバーツーリズムへの危機感高まる、住宅価格の高騰で住民の流出の懸念も

写真:ロイター通信

フランス・パリのモンマルトルの住民は、2024年のオリンピック開催後に観光客が急増したことで、美しい丘の上が次のバルセロナやベネチアになるのではないかと懸念し、オーバーツーリズムに警鐘を鳴らしている。

パリでは今のところスペインやイタリアで見られたような大規模な抗議行動には至っていないものの、街を象徴するいくつかのエリアが危機感を募らせ始めている。住民にとって欠かせない食料品店の数が減り、軽食スタンドや土産物屋に取って代わられているという。

地元のヴィーヴル・ア・モンマルトル協会は、欧州の他の観光地と同様の対策を市役所に提案。団体ツアーの人数を25人までに制限すること、拡声器の使用を禁止すること、観光税を引き上げることなどを求めた。

パリ地域の観光客は2024年には4870万人に達し、モンマルトルには年間約1100万人が訪れた。その多くは、写真映えするサクレ・クール寺院を見るためだ。2025年1月のパリへの旅行者数は前年同月比で20%増加。今年は記録的な旅行者数になると予想されている。

モンマルトルを含む18区のエリック・ルジョワンドル市長は、住宅価格の高騰による住民の流出も懸念している。ある住宅サイトによると、モンマルトルの不動産価格は過去10年間で19%上昇した。パリは、民泊(短期宿泊賃貸/ショート・ターム・レンタル:STR)によって住宅価格の高騰を招いているとして、STRへの規則を厳格化し、主要居住地の年間賃貸日数の上限を120日から90日に短縮した。

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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