
大手総合不動産サービスのJLLが実施した調査によると、アジア太平洋地域における2025年上半期のホテル投資額は47億ドル(約6910億円)となった。同社では、前年同期比で23%減。世界的なマクロ経済の不確実性が投資判断にも影響を与え、投資家の姿勢がより慎重になっていると分析している。
アジア太平洋地域での全投資額のうち、日本、大中華圏(中国本土・香港・台湾・マカオを含む)、オーストラリア、シンガポール、韓国の5市場で投資額が84%を占めた。トップは日本で投資額は15億ドル(約2205億円)にのぼった。次いで、大中華圏の7億4400万ドル(約1094億円)、オーストラリアの6億6400万ドル(約976億円)、シンガポールの5億4600万ドル(約803億円)、韓国の5億400万ドル(約794億円)となった。その他の市場の総投資額は7億5800万ドル(約1114億円)。
都市別では、東京は80%を超える稼働率とコロナ禍前の水準を上回る客室平均単価(ADR)を記録。シンガポールも2019年を上回るADRを維持し、シドニーも稼働率は80%弱と高水準だった。
JLLによると、プライベート・エクイティ・ファンドがホスピタリティ資産への投資を増加させ、その投資額は前年同期比6%増。主要都市における価格メカニズムの混乱や、割安資産を狙う戦略を示すものと分析している。
さらに、2025年上半期には、同地域の富裕層がホテル投資を通じたポートフォリオの多様化を求めて積極的な投資を行い、ホテルへの投資額は前年同期比54%増になった。
JLLでは、2025年通年のアジア太平洋地域のホテル投資額は前年比5%増の128億ドル(約1.9兆円)に達すると予測。2025年後半には、デューデリジェンス(投資対象の企業の財務リスク調査・分析)中の取引が完了することで、投資活動が加速すると見通している。
※ドル円換算は1ドル147円でトラベルボイス編集部が算出