アフリカで進む、富裕層向け観光に反発の声、地域社会への還元が不十分、リゾート開発を阻止する訴訟も

写真:ロイター通信

アフリカは、国際的な観光事業者にとって魅力的な場所になっている。アフリカへの輸送能力を拡大している航空会社もあり、一部の国ではその勢いが経済効果につながっている。多くのアフリカ諸国が、富裕層を対象とした観光開発を「高価値で低環境負荷」と位置付け、その目標達成を目指している。

しかし、マンチェスター大学の新たな研究『African Studies Review』によると、富裕層観光の開発による地域社会への恩恵は限定的で、多くの場合、利益よりも弊害をもたらしているという。

研究によると、オールインクルーシブ・リゾートは、しばしば地元の生活から切り離され、地元の労働者をほとんど雇用していない。また、宿泊者はリゾート内で全て消費するため、近隣の地域社会が潤ことがない。

収益性の高いエコロッジは外資系の場合が多く、観光客による支出の多くは海外の旅行代理店、食品輸入業社に流れている。

また、富裕層を対象にした観光開発では、その利益が外国企業や少数の地元エリート層に集中する一方で、観光産業の大半の賃金は依然として低いと指摘されている。

このような富裕層の観光に対する問題によって、現地で緊張が高まっている。8月中旬、ケニアの活動家が、マサイマラ保護区に高級サファリロッジを新たに開業するリッツ・カールトンの計画を阻止する訴訟を起こした。

ケニアでは、地元住民が観光開発は裕福な投資家による土地収奪だと主張。タンザニアでは、ロッジ建設のために数万人のマサイ族が立ち退きを強いられたことに対する抗議活動が勃発。警察との衝突に発展し、死傷者も出た。

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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