政府は2025年度補正予算案を閣議決定した。このうち、観光庁の補正予算額は総額225億円。オーバーツーリズムなどの課題解決に向けた取り組みを総合的に実施し、地域住民の安全・安心を守り、地域社会との共生を目指すとともに、持続可能で高付加価値な観光立国の実現に向けた取り組みを進めていく。
オーバーツーリズム対策等観光交通確保(67.7億円)では、観光客の受入れと地域住民の生活の質の確保を両立するための環境を整備するほか、地域の輸送資源やデジタル技術を活用して、旅行者の観光交通確保を推進していく。具体的な事業としては、大きな荷物を持った旅行者への対応や キャッシュレス決済の普及など取り組み、日本版/公共ライドシェアの導入など、観光地における交通の高度化を支援していく。
地方誘客促進に向けたインバウンドの安全・安心対策(8.8億円)では、訪日外国人に対してタビマエや入国時の医療保険の加入を促進するほか、クマの出没情報など多言語での情報発信、観光施設における非常時対応機能の強化、 医療機関におけるキャッシュレス決済などの整備を推進していく。
違法な民泊サービスの解消に向けた調査(4000万円)では、「民泊制度運営システム」の改修に向けた詳細な調査を検討。違法民泊の迅速な解消に向けて、住宅宿泊事業のみならず、特区民泊や旅館業法に基づく簡易宿所も含めて都道府県の届出への対応の実態を把握する。
観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進(49億円)では、地域資源を活用した観光コンテンツの造成、効果的な情報発信や販路開拓、より高単価なインバウンド向けのオプショナルツアーの造成を推進する。新創出型、品質向上型、分野特化型(ガストロノミー)の事業を支援していく。
ユニバーサルツーリズムの促進に向けた環境整備(40億円)では、観光施設や宿泊施設のバリアフリー化に必要な施設整備や設備導入を支援する。
観光地・観光産業における省力化・省人化等の推進(25.5億円)では、人手不足対策として設備導入を支援する。具体的には、共同設備 (セントラルキッチン、温泉引湯管、従業員寮)の導入・改修 、自動チェックイン機の導入を支援するほか、観光地経営の人材育成、人材確保・定着の促進、経営力の強靱化を図る。
このほか、2026年11月1日から免税制度が「リファンド方式」に見直されることから、周知・広報を実施していく(1億円)。
国交省の補正予算にもオーバーツーリズム対策
また、国土交通省の補正予算でも観光振興に資する予算が盛り込まれている。具体的には、地域の生活環境を支える基幹産業の支援・活性化として、「交通空白の解消」等に向けた地域公共交通のリ・デザインを全面展開する。
このほか、国民保護と旅行者の安全・安心への対応強化として「クマ被害対策パッケージ」に基づく対策を推進。インバウンドを含めた国内外の観光客が安全・安心に訪れることができる旅行環境の整備に向けた地域の取組を支援する。また、観光庁予算と連携し、外国人問題への対応や違法民泊サービスの解消に向けた調査、受入環境整備等の支援などオーバーツーリズム対策も実施される。
