アジア8か国で関西旅行の個人旅行化進む、ツアーが半減、ネット手配が約8割に ―日本政策投資銀行

日本政策投資銀行(DBJ)関西支店はこのほど、「関西のインバウンド観光動向 ~リピーター需要の獲得に向けて~」と題する調査レポートを発表した。アジア8か国・地域(韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア)を対象に毎年実施しているインバウンド意向調査の結果にもとづき、関西訪問経験者にフォーカスして分析したもの。

それによると、調査対象の訪日経験者2153名のうち、関西訪問経験者は55%を占める1184名。居住地域別で関西訪問経験者の比率が最も多いのはインドネシア(61.6%)。次いで香港(60.8%)、タイ(57.0%)、台湾(56.8%)、中国(56.7%)と続いた。性・年代別の構成比が最多だったのは、中国の30代女性(27.4%)。続いて韓国の50代男性(22.6%)、インドネシアの30代女性(22.4%)、中国の30代女性(21.1%)が2割を超える結果となった。

関西訪問経験者の訪日リピート率をみると、約6割が「2回以上の訪問経験者」。中国、タイ、インドネシア、マレーシアでは「1回」が最多となっている一方、香港は「4回以上の訪問」、台湾は「3回以上」ほぼ過半数を占めた。

DBJ:発表資料より

なお、国内地域別で訪日リピート率が高いのは、北海道や九州。北海道では65%以上、九州では約7割がリピーターだった。東京と関西はほぼ同率で約6割となっている点と比較すると、地方圏へのリピート率が高い傾向がみられたという。この結果について同レポートでは、初めての訪日旅行では東京や関西を訪れる外国人が強く、リピート率が高まるにつれて地方を訪れる頻度が高くなると分析している。

関西訪問経験者の旅行形態をみると、パック旅行(自由行動日なし)が32.8%、「航空券とホテルを個別手配」(31.1%)でほぼ並んだ。ただし経年推移をみると、パック旅行の人気は2012年と比較してほぼ半減し、その分航空券や宿泊を自分で手配する個人旅行の人気が上昇しているという。

特に、シンガポール(50.5%)、香港(42.9%)、マレーシア(42.9%)など英語が公用語となっている国・地域からの旅行は「航空券とホテルを個別手配」が人気。個別手配の方法で最も多いのは、「ネットでの手配」(76.1%)。次いで「宿泊施設に直接電話」が10.2%、「旅行会社手配」4.8%だった。

DBJ:発表資料より

関西訪問経験者への満足度調査では「伝統的日本料理」「自然や風景の見物」「温泉の入浴」が全体のトップ3となった。一方、台湾では「現地の人が普段利用している安価な食事」と「清潔さ/衛生面」、インドネシアは「日本旅館での宿泊」「桜の鑑賞」が3位にランクインするなど、国・地域によって異なる点も明らかになっている。

逆に不満事項をみると、全体のワースト1は「英語の通用しやすさ」への不満(24.6%)、2位が「母国語の通用しやすさ」への不満(19.8%)で言語に関する内容が上位に。次いで3位は「旅行代金」への不満(10.7%)だった。

今回の調査は2015年7月9日から7月21日に実施した「DBJ・JTBFアジア8地域・訪日外国人旅行者の意向調査(平成27年版)」にもとづくもの。同調査全体の調査対象者は20歳から59歳までのアジア8か国・地域に住む海外旅行経験者4111名。中国は北京と上海が半数ずつ含まれている。

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