世界の観光地が発する「責任ある観光」へのメッセージとは? 新時代に向けた外国観光局の3つの事例【外電】

世界では夏に向けて、近場への小旅行を楽しむ人々のにぎわいが戻りつつある。海外旅行でも、お目当ての旅行先を吟味中だ。こうしたなか、デスティネーション・マーケティングにおける次の一手として、責任ある旅行を呼びかけるメッセージが増えている。

一年前、世界規模のパンデミックにより、観光マーケティング組織はどこもプロモーションの緊急停止を迫られた。その後、まずは立ち止まって状況を確認すること、続いて、しばらくは自宅に留まりつつ、次の旅行について想像を膨らませよう、というアプローチに移行していった。

いずれ安全に旅行できるようになった時に備えて、お気に入りのデスティネーションへの関心をつなぎとめておく、というのが最善策だった。

1年が経ち、欧米アジア各地でワクチン接種が進み出した今、人々はまた旅行を計画し、予約を入れるようになったが、世界各地からのマーケティング・メッセージには、はっきりとした変化が読み取れる。

レスポンシブル・ツーリズム、すなわち「責任ある旅行」を促すキャンペーンの興隆だ。旅行者に対し、自らの行動がもたらす結果への自覚を促している。例えばアウトドアを楽しむにしても、次の旅行では、自分の選択がもたらす結果まで意識しようと訴えている。行先がワクチン接種済みの人ばかりの近隣エリアであろうと、やがて海外になろうと同じだ。

以下に、デスティネーション・キャンペーンの3つの事例を取り上げた。我々が暮らす地球の環境保全について、遠い未来のことまで考えようと問いかけるポルトガルの取り組みから、休暇を過ごす島のビーチにごみを残さないよう訴えるフロリダ州のマナティー・カウンティまで、いずれのケースも旅行産業が回復するだけでなく、新しい時代にふさわしい形へと進化しつつある今の流れを的確にとらえている。

ポルトガル観光局の事例:「HELLO WORLD — IT’S ME, TOMORROW」


ポルトガル観光局が発したのは、世界に直接、問いかけるハイレベルなメッセージ。大自然の不思議、鮮やかな色彩と生態系の画像で見るものを圧倒しつつ、旅行者を受け入れる地域の人々の姿を通じて、「未来の旅行者」について問題提起。人類と密接に関係がある地球のために行動することの重要性を訴えている。

ポルトガルはもちろん、世界各地で旅行が再開したとき、どうしたら我々がより良い方向に変わることができるのか、未来に向けたメッセージだ。キャンペーンは「今日から変わろう。明日がずっと旅行日和でありますように」と結んでいる。

スコットランドの事例:「YOURS TO ENJOY — RESPONSIBLY」


「あなたに楽しんでほしい、責任ある行動と共に」と題した動画。「スコットランドが、今もこれからも、特別な場所であり続けるように」とスコットランド観光局は新キャンペーンで語りかける。

訪れる人には、スコットランド滞在中、地元コミュニティや野生動植物へのリスペクトある行動を求めている。スローダウンして、じっくり体感しようというメッセージには、パンデミックを機に、オーバーツーリズムや気候変動問題の再考を余儀なくされるなか、旅行産業で提唱されるようになった「元に戻すのではなく、前より良くしよう」との想いが込められている。

米フロリダ州ブレイデントン湾諸島の事例:「LOVE IT LIKE A LOCAL」


アメリカでは、自宅近くで休暇を過ごす人が増えており、行先としては山やビーチなどが引き続き人気だ。なかでも盛況なのがフロリダだ。

今年の夏は、さらに多くの旅行者が押し寄せると予想されており、2022年アースデイ(4月22日)にはイベント開催も控えるなか、フロリダ州ブレイデントン地域観光局(BACVB)では新キャンペーン「Love It Like a Local(ローカルと同じぐらい好きになって)」を開始。訪れる人には、人気上昇中の小さな島、アナ・マリア島など、現地滞在をぜひ楽しんでもらいたいが、同時に、現地を大切に思いやることも忘れないでほしいと訴えている。背景には、観光客によるビーチでの騒音やごみ問題で、地元民からの苦情が増えていることがある。

「動画では、子供の視点からのメッセージを作成した。子供が共感できるなら、どんな年齢層の人も理解できるはずだから」と同観光局マーケティング&コミュニケーション担当ディレクターのケリー・クラーク氏。「それに11歳の女の子にルールを守ろうと言われたら、大人もそうだねってなるでしょう」と話す。

アメリカでは、国内旅行で賑やかな夏シーズン到来が期待されているが、海外旅行はまだ遅々とした回復途上にある。いずれについても、元に戻るのではなく、前より進歩するとは、どういうことかを模索しながら、責任ある旅行を喚起するマーケティング・キャンペーンの数々が始まり、安全というコインのもう一つの側面に対する、率直な取り組みにもつながっている。地元コミュニティと自然環境を、リバウンド需要という避けがたい嵐の余波から守ることだ。

※この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:More travel executives get their mission-critical industry news from Skift than any other source on the planet.

著者:Lebawit Lily Girma

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