日本の観光産業で遅れるSDGsへの取り組み、旅行業は16%で最低に、課題は人材・時間・予算の不足

立教大学観光学部の野田健太郎教授とJTB総合研究所は、「観光産業におけるSDGsの取り組み推進に向けた組織・企業団体の状況調査」の調査結果をまとめた。

それによると、SDGsに取り組みを行っている企業が最も少なかったのは観光産業で20.3%。そのうち、宿泊業は43.3%と高い割合なった一方で、旅行業は16%と最も低い結果となった。全業種で最も高かったのは金融業で85.7%。

報道資料よりSDGsに取り組む効果については、全業種では「従業員の意識の向上(55.8%)」「ブランド力の向上(34.9%)」「経営方針の明確化(28.6%)」がトップ3で、観光産業の上位3位も回答率が低いものの全業種と同じ結果となった。

また、観光産業の特徴として「売り上げの増加(27.6%)」、「収益の増加(21.9%)」、「取引先の増加(18.2%)」が全業種に比べて突出して高い結果となった。

報道資料よりSDGsの各ゴールに対する「リスク」と「チャンス」の認識については、観光産業(旅行業+宿泊業)では、全業種と比較して、「環境」「平和と公正」「パートナーシップ」が全業種よりも高い傾向となった一方、「雇用」「技術革新」に対するリスクやチャンスの認識が全業種と比べて低い結果となった。

SDGsに取り組む上での課題について、全体では「定量的な測定が難しい」が 56.6% と最も多く、「社内の認識が低い(37.4%)」「必要な人材が不足している(37.0%)」が続いた。観光産業で見ると、「必要な人材が不足している(観光産業 38.5%、全体 37.0% )」「運用する時間的な余裕がない(観光産業 35.9%、全体 26.0%)」「必要な予算が確保できない(観光産業 35.9%、全体 21.3%)」が全業種より大幅に高くなった。

報道資料よりこのほか、観光産業がSDGsの取り組みに対して期待する支援策については、「SDGsに取り組む際に利用できる補助金」が 69.2%と最も割合が高く、「SDGsに取り組んだ企業に対する認証、認定」「SDGsをテーマにした地域との連携」がいずれも 61.5%で、「SDGsをテーマにしたビジネスマッチング(56.4%)」「SDGsを活用したビジネス策定の支援(46.2%)」と続いた。

報道資料よりこの結果を受けて、JTB総合研究所は、観光産業のSDGsへの取り組みは著しく遅れていると指摘。観光産業の回答企業のうちの大半が中小規模の旅行事業者であったことから、SDGs達成への活動に時間・人材を充てられず、SDGsへの取り組みに着手できないのが現状と分析した。

また、観光産業のSDGsへの認識は、観光資源と関係のある自然環境問題に偏っており、短期的なビジネス上のメリットが活動のベースになっているとし、将来のインバウンド旅行市場の中核となるZ世代は、社会・環境問題に対して積極的になっていることから、中長期の視点でSDGsに取り組むことで経済価値と企業価値を高めていく必要性があると指摘した。

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