緊急事態宣言解除で、旅行会社や交通機関の変化は? 週末の直前予約から「ワクチン・検査パッケージ」の反響など取材した

2021年9月30日に緊急事態宣言が全面解除となってから1週間。不要不急の外出や県境をまたぐ移動の自粛を要請されていた人々の長距離移動や観光の需要が戻り始めた。その推移をみると、観光再開を待望し、解除のタイミングを計りながら一足先に10月以降の予約を行っていた様子が見て取れる。

JR東日本によると、新幹線や特急などの指定席の1日当たりの予約数が10月になってから、大きく動き始めた。緊急事態宣言中の9月末と比較すると、4割ほど増加(10月6日時点)したという。

さらに移動距離の長い空の便は、予約の動きが速い。ANAによると、10月運航分の国内線予約は9月中旬から伸び始め、9月後半の1日当たりの予約増加数は同月前半の10倍となった。10月以降も同様で、好調な推移が続いているという。

JALも宣言解除前後の1日当たりの予約数を比較すると、9月23日~29日の平均値は前週に比べて2.3倍に跳ね上がった。9月17日には、ラグビー日本代表とオーストラリア代表の国際試合が10月23日に大分県で開催されることが発表されたが、それ以降、試合当日の朝の羽田/大分線の予約が入り始め、9月末には同日の臨時便運航の決定と機材大型化の検討がされたほどだ。

旅行会社、バスツアーの状況

旅行会社のツアーでも、予約の動きは力強い。

JTBでは9月中旬ごろから新規予約が動き始め、宣言解除後(10月1日~6日)は解除前(9月25日~30日)に比べ、2割増加した。ネット予約を中心に、週末の間際予約の人気が高い。また、解除日の9月30日には、緊急事態宣言期間が長期にわたり、打撃を受けた沖縄商品を対象にした割引クーポンキャンペーンを開始。発売1週間で4券種のうち2券種が完売し、遠方の旅行が動き始めた。JTBでは「2年近く厳しい環境にあった地域の観光事業者にとっても、需要喚起につながることを期待している」という。

阪急交通社でも、「改善している」と手ごたえを示す。今年度下期出発分の新規予約数は、9月に入ってから徐々に増加。全面解除後の10月には前月同日と比べ、2倍以上になった。もともとシニアが主要客である同社では、ワクチン2回接種を終えている顧客が多く、「安心して旅行ができるという理解が広がってきたのでは」とみている。9月15日にはワクチン・検査パッケージの考え方に沿ったツアーも設定しており、予約が満席になったコースもある。

読売旅行は、先月、添乗員同行の団体ツアー全商品にワクチン・検査パッケージを導入した。9月17日の同方針の発表後、3日間の予約が前月同日と比べて1.5倍になり、市場の反応の手ごたえを得た。全面解除後の10月からは前月同日比2倍で推移している。読売旅行も主要客はワクチン接種を終えたシニアが多く、ワクチン・検査パッケージの導入については「安心して旅行に行ける体制を作ってもらえた」と好意的な意見が多いという。

バスツアーの人気も回復しつつある。はとバスは緊急事態宣言を受け、ツアー販売を東京都内の2コースのみに縮小していたが、9月中旬から10月以降の出発ツアーを4コースに倍増。10月1日~5日までの予約数は、前月同期比7倍に増加した。県境を超える旅程のツアー販売も徐々に再開し、予約が戻ってきている。キャンペーンを行わず、ホームページやチラシでのコース紹介にとどめているなかで予約が入ることについて、はとバスでは「旅行マインドの高まりとともに、需要は戻ってくる。想定した動き」と順調な推移と認識している。

ただし、どの交通機関も観光事業者も、コロナ以前と比較すれば運航数や商品設定数、予約数はまだまだ少ない。

また、高速バス会社のように、もともと10月は主要客層の学生の夏休みが終了し、需要が落ち着く時期でもあることから、宣言解除がすぐに需要改善に結び付いていないという事業者もあった。また、団体旅行は少しずつ引き合いが戻ってきているものの、未だ慎重な動きという声もある。2年近くにわたり、移動や観光の自粛を求められていたマーケットで需要回復を実現するには、長期的な視野での需要喚起策が求められそうだ。

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