ANA、脱炭素に向けた4つの戦略を明確化、戦略実行のためのESG投資フレームワークも策定

ANAは2020年11月に羽田発ヒューストン行きで日本の航空会社として初めて定期便でSAFを搭載(ANA提供)

ANAは、2050年度までのカーボンニュートラル実現に向けて、新たにトランジション戦略を策定した。これまで同社が進めてきた運航上の改善・航空機などの技術革新、持続可能な航空燃料(SAF)の活用、排出権取引制度の活用、ネガティブエミッション技術の活用の4つの戦略的なアプローチを明確化し、今後のシナリオをステークホルダーと共有することで、中長期の環境目標達成を目指す。

また、今回、トランジション戦略の実行を目的とした資金調達を行うために、新たに「グリーンボンド・フレームワーク」を策定した。

4つの戦略的アプローチのなかで、大きな部分を占めるのがSAFの活用などによる航空燃料の低炭素化。これまで発表してきた通り、SAF必要量の安定確保を進め、2030年には消費燃料の10%以上をSAFに置き換え、2050年にはほぼ全量の低炭素化を進める。

その具体的な取り組みとして、ANAは、JAL、日揮ホールディングス、レボインターナショナルと共同でSAFの普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」を設立。今後も、生産量の拡大、価格の低減化、サプライチェーンの整備に向けて官民および産業関連を推進していく。

さらに、ANA独自の取り組みとして「SAF Flight Initiative」も強化。現在、カーゴ・プログラムで5社、コーポレート・プログラムで4社が参画しているが、社会的価値だけでなく、ESG経営における経済的価値の理解を進めながら、参画企業の拡大に努めていく。

運航上の改善・航空機などの技術革新では、運航の段階に合わせた燃料節減を進めるほか、国土交通省と連携した航空交通システムの改善を進めていく。また、次世代低炭素機材の導入でも二酸化炭素排出削減を推進。ANAでは、この分野での削減の余地はまだ大ききいとしている。

航空機の技術・インフラ開発も

さらに、トランジション戦略には含まれていないが、ANAは主要航空機メーカーと先端技術の開発やインフラ整備に関する共同研究も積極的に進める。すでにエアバスとは水素航空機の開発およびインフラ整備に関する共同研究プロジェクトに関する基本合意書(MoU)を締結した。ANAでは、電動航空機や水素航空機の社会実装には時間がかかり、グループの機材構成からすると活用は限定的になる可能性はあるものの、先端技術およびグローバルエコシステムの情報をタイムリーに入手することで、環境目標達成に向けて幅広い選択肢を確保していきたい考えだ。

ネガティブエミッション技術(NETs)の活用については、排出権取引制度では除去しきれない排出量削減量を、大気中のCO2を直接回収するDAC (Direct Air Capture)などの技術で置き換え、2050年度までにはCO2相殺の排出権取引制度に依存せずに排出量実質ゼロを目指す。まだ、DACを含むNETsについては、将来的な技術だが、IPOC(気候変動に関する政府間パネル)が2022年4月に出した6次報告書でも、NETsの必要性が言及されており、今後の技術革新が期待されているところだ。

報道資料より

戦略実行のための資金調達、ESG投資呼び込む

このほか、ANAは、トランジション戦略を実行していくための資金を調達する目的で、新たに「グリーンボンド・フレームワーク」を策定した。今後、トランジション戦略の理解を進め、社債市場からESG投資を呼び込む考え。調達した資金については、SAFの購入、SAFの調達拡大に向けた投資、NETs活用に向けた投資に充てる計画。フレームワークに基づくグリーンボンドの発行時期、発行額などについては、金利動向などを踏まえて今後決定するが、ANAとしては、戦略をアップデートしながら、継続的にグリーンボンドを発行していく方針だ。

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