2023年の主要組織の「年頭所感」、要点を抽出し「ダイジェスト版」に整理してみた、一気読みでみえてくる今年のトレンド

2023年を迎え、旅行や観光関連企業・組織のトップやリーダーが年頭所感や新年の挨拶として事業方針や決意を表明している。そこでは、3年におよぶコロナ禍とその影響の振り返り、2023年とその先への展望、今後の観光産業の復活を見据えた事業展開に向けた強い想いが読み取れる。

そのなかで、国として国内外の観光需要の本格回復と観光立国復活への取組みを強力に推進し、2025年をめどに持続可能なカタチでの観光復活を目指す方針が提示された(観光庁長官 和田浩一氏)。また、インバウンド再スタートの年として、各地域のインバウンド観光の早期回復への支援が強化される(日本政府観光局理事長 清野智氏)。一方、観光事業者・企業は、新たな展望や事業方針を示し、DXやデータ活用、テクノロジーなどを通じた「観光産業の未来」を展望するコメントが多くみられた。

トラベルボイスでは、読者が各社・各組織の今後の活動方針を読み解くことができるように、原文のまま紹介している。以下は、2023年1月4日までに公開された年頭所感を整理したもの。1月5日以降に公開されたものは、順次追加・更新する。


【行政・観光機関】

観光庁長官 和田浩一氏 ―3つの柱で観光戦略を推進、「観光立国推進基本計画」を3月までに策定へ

和田長官は、国内外の観光需要の本格回復と観光立国復活への取組を強力に推進する方針を提示。新たな「観光立国推進基本計画」を策定し、2025年をめどに持続可能なカタチでの観光復活を目指すとしている。

日本政府観光局(JNTO)理事長 清野智氏 ―インバウンド観光再スタートの年、MICE誘致にも注力

清野理事長は今年をインバウンド観光の再スタートの年として非常に重要な一年となるとの認識を示した。JNTOの総力を挙げて、各地域のインバウンド観光の早期回復の支援に努める方針。

日本観光振興協会理事長 久保田穣氏 ―次の時代へ「価値の創造」、諸課題への対応で「観光DX」を重点事項に

久保田氏は日本の観光が再起動し、次の時代へ動き始めているとの認識を示す一方、観光を取り巻く問題が顕在化してきたことも指摘。「価値の創造」をテーマに、DXの推進を重要事項として、各種事業に取り組む方針を示した。

日本旅館協会会長 大西雅之氏 ―課題は人手不足、業界全体の地位向上へ

大西氏は、2022年は旅行が回復基調だったものの、コロナ禍の3年間のダメージは短期間で取り戻せるものではないと言及。2023年は業界全体の地位向上に向け、課題に取り組みたいと意気込んだ。

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)会長 多田計介氏 ―回復基調でも予断を許さず、共助機能をさらに推進

多田氏は、観光がようやく回復の兆しを見せつつも、まだ予断を許さない状況であると指摘。全旅連という共助機能をさらに進めることで、新たなスタイルや展開を起こしていきたいとの考えを示した。

全国旅行業協会(ANTA)会長 二階俊博氏 ―コロナ禍から平時へ、活発な交流再開に取り組む

二階氏は今年のテーマに「コロナ禍から平時への移行」を掲げ、3月に開催する「国際観光活性化フォーラム」を起爆剤とすべく、全身全霊で打ち込むことを表明。2023年が飛躍を遂げる元年になるよう、観光業界に奮起を呼び掛けた。

日本旅行業協会(JATA)会長 髙橋広行氏 ―海外旅行の回復が最重要、新たな時代の「価値」提供へ

髙橋氏は、2023年は海外旅行をどう回復させるかが最重要テーマであり、国内・訪日・海外旅行をバランス良く回復させることが、業界全体の発展につながると強調。新たなツーリズムを目指して取り組むとの意欲を示した。

日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)会長 大畑貴彦氏 ―国際往来の復活へ待ったなし、ベクトルをあわせて動き出せ

大畑氏は日本人の海外旅行が期待ほど戻っていないと言及。「自動的に元には戻らず、国際往来が活発だった時代を再構築していく覚悟が求められる」との国土交通審議官の言葉を紹介し、復活に向け歩調を合わせて動き出すときと呼びかけた。

カナダ観光局日本地区代表 半藤将代氏 ―環境、文化・社会、経済のサステナビリティを重視、新しい観光体験を

半藤氏は、2023年はカナダの奥に触れられるような新しい観光を体感できるキャンペーンを始動すると表明。将来世代に引き継ごうという再生型観光にも取り組むとした。

【旅行会社・OTA・テクノロジー企業など】

JTB代表取締役 社長執行役員 山北栄二郎氏 ―国際交流再開の年、多様性とダイナミックな新JTBに

山北氏は、2023年4月からリブランドに着手する新JTBの姿を「期待を超える挑戦を続け、新たな交流時代を切り拓くこと」と説明。2023年は国際交流再開の年となり、交流を可能にする社会・地球環境を持続させるための努力を続けていくとしている。

HIS代表取締役社長 矢田素史氏 ―まずは旅行事業の定常化に専念、旅行を軸に事業多角化に挑戦

矢田氏は、2022年は世界の変化を感じた1年だったと述懐。今後、HISグループは、基幹の旅行事業の定常化に専念するとともに、非旅行事業に積極的に挑戦すると意気込んだ。

KNT-CTホールディングス代表取締役社長 米田昭正氏 ―新事業の開発、未来創造プロジェクトに注力

米田氏は、2023年はサステナビリティの追及、DX化を推進するとともに、旅行や周辺事業を通じて社会に貢献する企業として邁進。未来創造プロジェクトにも注力すると意気込んだ。

日本旅行 代表取締役社長 小谷野悦光氏 ―社会課題解決への挑戦、旅行業のポテンシャル広げる

小谷野氏は、旅行業の可能性を広げる新事業をすすめるなかで、改めて「ツーリズム」の持つ地域経済との密接な関係と地域の課題解決に貢献する価値を再認識したとし、未来の社会に貢献する企業になる決意を表明した。

阪急交通社 代表取締役社長 酒井淳氏 ―創業75周年、品質担保と顧客接点の強化で新規客を獲得

酒井氏は、今年を事業基盤を強固にする1年と位置づけ、国内・海外・訪日・ソリューションの各事業の目標や方針を提示。感謝の気持ちを忘れることなく安心安全の旅を届け、社会に役立つ企業として邁進する意気込みを述べている。

楽天 トラベル&モビリティ事業 髙野芳行ヴァイスプレジデント ―パートナーとともに旅行需要回復へ

髙野氏はインバウンドサイトの刷新、サステナブル旅行の推進など取組みを説明。2023年は社会情勢を注視しながら、宿泊施設やパートナーと団結し、旅行需要回復に取り組んでいきたいとした。

リクルート 旅行Division長 宮本賢一郎氏 ―地域消費を最大化し、人と地域の出会いに満ちた世の中に

宮本氏は、同社がミッションを「総地域消費額の増加」に刷新したことを紹介。地域での消費最大化と、人と地域の出会いに満ちた世の中を、地域とともに作っていく意気込みを示している。

一休 代表取締役社長 榊淳氏 ―コロナ禍も成長を継続、顧客が心地よい体験できる世界を

榊氏は、旅行を愛する顧客に支えられ、コロナ禍でも成長を継続できたことを振り返り。今後も「こころに贅沢な」旅行体験を提供し続けられるよう、サービスに磨きをかけていく意欲を述べた。

エクスペディア・ホールディングス ディレクター 山﨑美穂氏 ―テクノロジーとデータ活用で、パンデミック後の変化に対峙

山﨑氏は、パンデミック収束後は2019年時点の旅行トレンドや常識は通用しないと指摘。旅行者の評価中核にすえたテクノロジー、データを活用することで、旅行者と宿泊パートナーとの結びつきを実現したいと述べた。

Trip.com International Travel Japan社長 勝瀬博則氏 ―アプリ改善や顧客サービスに投資

勝瀬氏は、外国人の日本への関心が高まっている状況に触れ、モバイルファースト、オールインワン、顧客中心のアプローチを着実に進めながらポストコロナの新たな観光立国に向けて尽力する考えを示した。

ベンチャーリパブリック代表 柴田啓氏 ―日本の観光が世界へ追いつき、輝く年に

柴田氏は、2023年に日本の旅行市場の回復度合いが世界に追いつくと期待を込めた。コロナ禍は業界に深く大きな傷を残した一方で、市場に新たな需要やビジネスチャンスをもたらしたと指摘した。

ナビタイムジャパン トラベル事業部長 毛塚大輔氏 ―「タビナカでの移動と消費」に焦点、観光活性化に貢献

毛塚氏は2023年、訪日市場の「タビナカでの移動と消費」に焦点を当て、人と企業、地域、体験をつなぐハブとして移動需要の創出と消費拡大を促し、観光業界の活性化に貢献する意欲を述べた。

NECソリューションイノベータ 主席主幹 石塚直也氏 ―継続的な観光まちづくり、地域観光に貢献

石塚氏は、デジタルの力で地域の魅力を最大化するスマートシティをテーマに、地域経済の活性化を含むトータルなまちづくりに意欲を示した。

ヤフー マーケティングソリューションズ統括本部 第二営業本部 本部長 三村真氏 ―今年は旅行需要の予測に挑戦

三村氏は、検索データがコロナ禍の前例のない状況を予測する貴重な手掛かりになったと述べ、データインサイトの提供で旅行業界に貢献できると説明。需要予測や、新たなマーケティングソリューションにも挑戦し、旅行ビジネスの成長加速に貢献していく意欲を示した。

tripla (トリプラ)CEO 高橋和久氏 ―宿泊施設のロイヤルカスタマー形成へ、経営健全化に貢献

高橋氏は、ロイヤルカスタマーを形成することで、宿泊施設様は事業運営が健全化し、パンデミック禍でも強固な経営が可能となるとの考えを示た。2023年は「お客様を自ら形成していくメカニズム」を強固に提供し、様々なサービスを開発するとしている。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング パートナー 平林知高氏 ―需要回復に甘んじることなく、選ばれる観光地に

平林氏は、2023年は「DXの意義を地域で共有・実行」と「非連続の成長実現に向けた取り組み強化」の2つの取り組みが重要になると指摘。ツーリズム業界の変革に取り組むべく、地域の支援をしていく意欲を示している。

マスターカード 日本地区社長 内山憲氏 ―需要の質的変化の理解が重要、成長機会に満ちた年に

内山氏は2023年の需要や消費の内容が、コロナ以前とは質的に異なっており、正しく把握する必要性を説明。これまでの知見と政府や自治体、金融機関、各事業者とのパートナーシップを通じ、観光産業や地域活性化、キャッシュレスを支援する方針を示した。

アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル・日本旅行(GBT NTA)代表取締役社長 マルコ・ペリッツア氏 ―出張の新時代が到来

マルコ・ペリッツア氏は2023年の出張手配は、出張前から後まで、出張者の快適を重視する必要があるなど、複数の変化を指摘。出張が経済的、社会的、環境的な進歩を推進する善の力であることが、再び証明されるとの考えを示した。

ブッキング・ドットコム 北アジア地区統括ディレクター 竹村章美氏 ―サステナブルな旅を簡単にみつけられるように

竹村氏は、2023年も引き続きシームレスかつワンストップで思い思いの旅を簡単設計できるサービスを提供する方針。サステナブル・トラベルを重視するほか、世界のトレンドに応じた日本の魅力の発信と誘客にも取り組む。


【航空会社と系列旅行会社・GDS】

日本航空(JAL)代表取締役社長 赤坂祐二氏 ―「回復」と「復活」の1年に、ESGを軸に企業価値の向上へ

赤坂氏は、今年はコロナ禍で失われた価値あるものをもう一度取り戻す「回復」と「復活」の1年にしたいと強調。強固な財務基盤の再構築、ESGを軸とした長期的な企業価値向上の実現に取り組むとした。

ANAホールディングス代表取締役社長 芝田浩二氏 ―大きく「跳」ねる年に転換、回復需要を取り込み収益拡大へ

芝田氏は、事業に大きな影響を与えるリスクを注視しながらも、回復需要を取り込み、収益の拡大を目指すと力強く述べた。創業70周年の歴史をかみしめながら、ANAグループのDNAを次の70年、100年の発展につなげていく意欲を述べている。

ジャルパック代表取締役社長 平井登氏 ―2023年は「挑戦の年」、世界的インフレなど課題に立ち向かう

平井氏は2023年を「挑戦の年」と位置づけたうえで、旅行者、取引先、地域と信頼関係を築くことで、観光産業を揺るがす危機に立ち向かっていくと宣言。変化を恐れず尽力すると意気込みを示した。

ANAあきんど社長取締役社長 菅谷とも子氏 ―地域と地域を結び、新たな需要創出の機会をつくる

菅谷氏は、2022年を振り返り、航空需要も徐々に回復の兆しを見せたと言及したうえで、輸送を基盤にこれからも地域発展に貢献していく意欲を示した。

トラベルポートジャパン取締役日本支社長 岡安美里氏 ―旅行販売の変革が求められる年に

岡安氏は、2023年は旅行販売の変革が求められる年になると指摘。最新型トラベルリテールプラットフォームをベースに、これからの旅行業界を変えていくような新たなスタイルを生み出したいと強調した。

インフィニトラベルインフォメーション社長 植村公夫氏 ―海外旅行の復活へ、手配人員不足を全力サポート

植村氏は、海外旅行が徐々に再開される一方で、コロナ禍で旅行会社の手配人員が不足していることに言及。課題解決のサポートに向けて尽力したいと意気込んだ。

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