地域の「稼ぐチカラ」を向上させる打ち手とは? 潜在顧客の設定からゴールまで、佐渡島の観光事業者が学ぶ現場を取材した(PR)

Salesforceは、関東経済産業局と連携し、新潟県佐渡市で「DXを活用したサービス産業の競争力強化セミナー及び観光ジャーニーワークショップ」を開催した。佐渡島の観光産業における生産性向上を支援するもの。デジタルの力を活用して効率的かつ付加価値の高いサービスを提供することで、地域の「稼ぐチカラ」を向上させる有効な打ち手を検討していく。

ワークショップには佐渡島を代表する観光事業者のほか、行政、DMO、地元銀行が参加。Salesforceの「カスタマージャーニーマップ」を活用し、ペルソナ(地域を訪れる旅行者像、潜在顧客像)の設定からゴールまでを議論した。その過程で浮かび上がった新たな気づき、参加者の意識の変化を取材した。この議論の基礎である「デザイン思考モデル」とあわせて2回シリーズでレポートする。

なお、Salesforceの「デザイン思考モデル」の内容は、「観光客リピータ化への8つのステップとは? 必要なのは顧客とのつながりと、一元化されたデータ活用(PR)」で詳しく紹介している。

佐渡島の強みの再考からペルソナを設定

ワークショップに先立ち、Salesforceは「DXのカタチ」について解説を行った。業務効率化やデータ分析などの「守りのDX」と商品・サービスの価値向上、顧客接点の改革、ビジネスモデルの変革など「攻めのDX」があるとし、今回のワークショップでは「攻めのDX」を意識して進めていく方向性を示したうえで、「重要なのは潜在顧客(ペルソナ)視点に立つこと」と強調した。

ワークショップは4班に分かれて進行。カスタマージャーニーの入口となる特定のペルソナを想定する前に、そのペルソナを具体化するために、佐渡の強みについて考えた。参加者からは、「田園や海岸線の風景」「山のトレッキング」「人の温かさ」「多様な食」などが挙げられたが、「地元の人間としては当たり前になっている素材を来島者から教えられることが多い」という意見も多く出た。

議論の後に想定されたペルソナはこうだ。

  • A班:首都圏在住の30代から40代の子供連れファミリー
  • B班:首都圏在住の30代から40代の休みが取れてお金があるファミリー層
  • C班:30代から50代で時間に余裕がある経営者層
  • D班:関東在住で30代前後の子供がなく仕事に疲れている人

ワークショップ前の素案では、「人生で4回ぐらい来てほしいファン層(若者、外国人、滞在期間3泊)」「首都圏在住の消費額の高い層(30代、40代の家族連れ)」「若いグループ層(20代女性インフルエンサー)」が挙げられていたが、4班とも地域での消費拡大を狙い、富裕層をペルソナに設定したところに、佐渡島での課題と可能性を見出している様子が見えた。

ワークショップの様子

タビマエ、タビナカ、タビアトで旅行者の行動と感情を想像

その後、Salesforceが開発した「カスタマージャーニーマップ」を活用し、さらに深掘り。タビマエ、タビナカ、タビアトの各ステージで、顧客行動、顧客接点、顧客の感情変化、その感情変化への対応策などに分けて、思いつく限りのアイデアを付箋に書き、マップに貼り付け、参加者の意識や考えの言語化と可視化を進めていく。

付箋には本当に思いつくままの考えが記されていく。例えば、首都圏在住の30代から40代のタビマエの顧客行動では「ママ友と喋る」「貯金を確認する」「子供が学べるところを探す」などの計画から、「子供預けるナニーさんとzoomで事前対面」「コンシェルジュ=ナニーさん?」など予約で想定される考えまで、タビナカでは「佐渡食材でBBQ」「インスタにアップ」など、タビアトでは「現地で食べたものをネット検索」などだ。

顧客の感情変化では、タビマエの心配事や気づき、タビナカでは「やっていない店がある。開店時間は?」「Googleの情報が適当」「ナニーさん安心できそう」などペルソナの喜怒哀楽を想像した。

そのような顧客の感情変化への対応策として、タビマエでは「インスタ、ツイッターなど色々な視点で情報が欲しい」「予約の一本化が必要」「佐渡汽船アプリの活用」など、タビナカでは「ナニーさんコンシェルジュ事業」「島民からのクチコミ情報」「GPS機能でランチ営業時間を知らせる」などの付箋がマップに並んだ。

このマップの役割は、参加者の考えを言語化し、それを俯瞰すること。そしてカスタマージャーニーを再整理すること。各班ともこの作業を通じて、いろいろな気づきがあったようだ。例えば、「リピートしてもらうためには旅の履歴を提供することが必要」「船が到着するタイミングでの送迎」「さまざまなポイントを統合したアプリ」「決済の課題」など。気づきは、カスタマージャーニーの構築だけでなく、改めて地元を再評価する機会にもなったと語る参加者もいた。

ワークショップでは、「カスタマージャーニーマップ」に付箋でアイデアを出していく

結果発表では新たな気づきや課題の洗い出しも

ワークショップの最後に、各班が議論から導き出した結果と「カスタマージャーニーマップ」の効果について発表した。

A班は、予約動線、島内の移動、食事、宿泊施設の予約などをアプリやウェブで一元管理し、それを観光客だけでなく島民も一緒に使えるようにすれば顧客体験が良くなるのではないかとの総意から、「佐渡島Open Now」のアプリ開発というアイデアに集約した。

B班は、旅行プランニングサイト構築のアイデアに落ち着いた。「莱島では、佐渡汽船に絶対に乗船するので、佐渡汽船の予約から宿の予約までを一気通貫でできる仕組み作りが必要。顧客視点で嫌な体験を消して、島内でのケアやアフターフォローを強化すれば、再訪につながるのではないか」とメンバーの意見をまとめた。

C班は、議論の途中で、30代から50代で時間に余裕がある経営者層から女性にペルソナを変更。そのうえで、旅での困りごとを考え、タビナカからタビアトまで伴走できる「女性向けのコンシェルジュ機能の立ち上げ」を考えた。女性向けのコンシェルジュは汎用性が高いと想定されるため、家族連れでも使えるのではないかと想定。一方で、新たな気づきとしては「このペルソナに設定したことで、佐渡島には女性が楽しめるコンテンツが少ないことがわかった」として、「この課題を住民とも共有していきたい」とまとめた。

D班は、ペルソナを「35歳独身女性で、仕事に疲れ、日常から逃げ出したい人」とさらに具体化。旅行中にも情報収集しながら、自分で旅を作っていくジャーニーを想定したうえで、「AIマッチングシステムを使って、旅行計画をカスタマイズする」アイデアを総意としてまとめた。さらに、「AIマッチングに自分の体験をアップデートし、データが溜まれば、コンテンツやナレッジが進化していく。そのサイクルを回していく仕組みができれば」との考えまで発展した。

ペルソナを具体化し、その視点からカスタマージャーニーをひとつひとつ順を追って想像してみる。この作業は参加者にとって、地域の新たな課題の発見と、それに対する具体的な対応策を検討する機会となったようだ。参加者のひとりは、「各段階での顧客心情の変化を自分事として考えて、どうすればいいかを議論できた」とコメント。また、「メンバーが多岐に渡っていたので、さまざまなアイデアを俯瞰して考えられた。ワークショップで得られた気づきは、それぞれの体験によって過程と目線が異なるというところ」と語る参加者もいた。

なお、本ワークショップで活用した「カスタマージャーニーマップ」の基礎となるSalesforceの「デザイン思考モデル」の内容は、「観光客リピータ化への8つのステップとは? 必要なのは顧客とのつながりと、一元化されたデータ活用(PR)」で詳しく紹介している。またSalesforce観光ジャーニーワークショップ(有償)についての相談は、下記の問い合わせより受け付けている。

広告:株式会社セールスフォース・ジャパン

お問い合わせ:フリーダイヤル 0120−733−257

記事:トラベルボイス企画部

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