全国旅行業協会、二階会長「事業継続への環境整備が最重要課題」、安心安全な旅行提供への注力を呼びかけ

全国旅行業協会(ANTA)は2023年6月29日、2023年度の定時総会を開催した。2022年度事業・決算報告と2023年度事業計画・予算が、原案通り承認された。

ANTAは、全国47都道府県に支部を持ち、地域に根付いた第2種、第3種の中小規模の旅行会社の多い旅行業団体。会員数は、5300社以上。(第1種旅行業者を中心とする日本旅行業協会(JATA)は、約1100社超。)

総会ではANTA会長の二階俊博衆議院議員が挨拶にたち、コロナ禍が明けて日常が戻ったとしながらも、「旅行需要は以前の水準を回復するに至っていない。特に、ANTA会員が得意とする団体旅行の回復は余談を許さない状況にある」とし、今後の事業展開について「会員の事業継続に向けた環境の整備と安心安全の旅行の徹底の2つを軸に、積極的に取り組んでいく」と話した。

特に、事業継続に向けた環境整備については「事業継続をしたいと願う会員が、事業廃止に追い込まれることがないようにすることが、最重要課題」と強調。ANTAとして、旅行業の更新登録要件の弾力的な運用や資金調達、過重債務の救済措置、国内旅行の需要喚起などについて、政府や関係省庁に強く要請していく考えを示した。

旅行業の復活と安心安全な旅行の提供へ

コロナ禍の影響で、ANTAの事業活動収入は減少。大きく落ち込んだ2020年度(コロナ前の2018年度比35%減。比較はGoTo事業除く)以降、少しずつ上向いているものの、2022年度も同25%減にとどまった。会員数は2018年度の5621社から2022年度には5370社に減少し、新規入会社数もコロナ前の年間300社前後から、コロナ以降は200社前後での推移となっている。

依然として厳しい経営環境が続くなか、2023年度も引き続き、旅行業の復活と安心安全な旅行の提供に取り組む方針。特に、旅行の安心安全の確保では、会員に対して重大事故支援制度が付いた「全旅協旅行災害補償制度」の利用促進を図る。二階氏も挨拶の中で、2022年度には知床沖観光船事故をはじめ観光中の死亡事故が発生したことに触れ、「安全確保にこそ、全力を注ぐべき。貸切バス業界とも連携しながら、より一層安全な体制構築に全力を尽くしたい」と話した。

なお、役員改選では、会長の二階俊博氏をはじめ、副会長3名、専務理事、常任理事10名が再任となった。

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