新しいMICEのカタチを取材した、都市型DMO「東京丸の内」で域内の競合ホテルも協働、サステナブルからユニークベニューまで

DMO東京丸の内は、設立5周年記念イベントとして、関係者を招待した「DMO東京丸の内DAY」を北の丸公園の科学技術館の屋上で開催した。DMO東京丸の内は、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアでの都市型MICEの誘致に特化したDMO。今回の取り組みは、ユニークベニューを活用したイベントの検証の意味合いもある。DMO会員会社、クライアント企業、MICE代理店などから約150人が集まった。

イベントの開催にあたり、DMO東京丸の内理事長で三菱地所執行役員の井上俊幸氏は「今年になって、通常の行動ができるようになったが、2019年がそのまま戻ってきたわけではない。価値観や行動パターンも変わっている。大丸有全体で新しいMICEの受け入れ方を提案していきたい」と今後に向けた抱負を話した。

DMO東京丸の内理事長の井上氏

また、観光庁MICE担当参事官の石川靖氏は、2023年5月に決定された「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」について触れ、改めて「2030年にアジアNo.1の国際会議国としての不動の地位を築き、世界5位以内を目指す」と話し、国としてもMICEの誘致に力を入れていく考えを示した。

観光庁MICE担当参事官の石川氏

競合ホテルが協働、サステナブルMICEも

今回の取り組みの特徴の一つは、大規模MICEを念頭に置いた会員ホテルによる共同ケータリングサービス。海外の競合都市に対抗するために、会員企業がワンチームで協力し、ザ・ペニンシュラ東京、帝国ホテル東京、東京會舘、東京ステーションホテル、パレスホテル東京がそれぞれ趣向を凝らしたカナッペを提供した。

パレスホテル東京国内営業部兼グローバルセールス部部長の沖崎晃一氏は、この取り組みについて「普段は競合だが、大規模MICEはエリア勝負になるため、協力していくことも大切」と話し、今回の取り組みをさらに強化してく考えを示した。

DMO東京丸の内事務局長の藤井宏章氏は、「1000人以上の大規模MICEでは、なかなか1社では対応が難しい。また、屋外ユニークベニューの活用では、さまざまな制約があるが、パレスホテルなど会員ホテルがいろいろな解決策を見つけてくれた」と話し、ワンチームでの取り組みに手応えを示した。

会員ホテル5社のほか、サントリー、一保堂茶舗丸の内店も協業。さらに、サステナビリティに配慮したイベント運営にも注力した。可能な限りCO2を排出しないような運営を設計し、排出せざるを得ないCO2に関してはJクレジット購入によりカーボンオフセットを試みた。また、ケータリングでは、通常廃棄する食材を利用したほか、調理過程で排出した生ゴミのコンポスト、フードロスを減らすための受注数設定も行った。このほか、食器類は余剰資源である竹サトウキビを原料にしたものを使用し、招待状をすべて電子化するなど、脱プラスティック・ペーパレースにも取り組んだ。

ウェルカムドリンクでは、丸の内ハニーを使った「丸の内ジンフィズ」と「丸の内モヒート」が振る舞われた。パレスホテルの沖崎氏は、「特に海外の人たちはサステナビリティに対する感度が高い。コロナ禍を経て、その傾向はより強まっている」と明かしたうえで、「お客様の満足度を高めながら、サステナビリティへの取り組みをどのように進めていくか」を次のステップとして挙げた。

大丸有エリアでは、東京国際フォーラムなどで大規模な国際会議が多く開催されているが、藤井氏は、今回の科学技術館での取り組みについて、「グローバルミーティング後の懇親会などの規模で活用できるのではないか」と話し、今後の展開に期待感を表した。

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