
観光庁はこのほど、訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査を実施した。旅行中「困ったこと」については、「ごみ箱の少なさ」(21.9%)。「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じないなど)」(15.2%)、「公共交通の利用(乗り場、経路の情報、乗り換え方法など)」(12.3%)などが挙がった。
2024年度に新規追加した「観光地や地域の混雑」(13.1%)は困った項目の3位だった。「入国手続き」は8.6%で、2019年度の1.9%、2023年度の3.5%から増加。その理由として、待ち時間や手続きの時間の長さをあげる回答者が多く、訪日客の増加が影響しているようだ。
一方で、旅行中「困ったことはなかった」と回答した割合が51.1%と過半数を超え、前回調査(2023年度)の29.7%から21.4ポイント増加した。コロナ禍前の2019年との比較でも14.5ポイントの増加となる。
観光庁:発表資料より
「困ったこと」をさらに分析すると、最も多かった「ごみ箱の少なさ」は、「観光スポット」(都市部58%、地方部44%)、「観光スポットに向かう過程」(都市部38%、地方部30%)との回答が多く、結果として「ごみを捨てることをあきらめ、持ち帰った」(都市部、地方部ともに70%以上)という状況になっているようだ。
また、「施設スタッフとのコミュニケーション」で困ったのは、「飲食店」(都市部、地方部ともに約50%)が多く、「自動翻訳システムや翻訳システムといったICTツールを活用して対応している」(都市部、地方部ともに70%以上)。オーバーツーリズムでは、「混雑や渋滞などの情報が発信されていない、情報不足」との声もあった。
便利だと感じたことは?
アンケートでは、便利だと感じたことについて、「フリーWi-Fi」、「クレジットカード/デビットカード」、「多言語表示」、「コミュニケーション」、「交通機関」の項目で聞いている。
都市部/地方部の両方を訪問した旅行者の回答では、都市部のほうが便利だと感じる割合が高かった。一方、都市部と地方部のどちらかのみを訪問した旅行者は、都市部/地方部の便利さの感じ方は同等レベルで差はなかった。
便利だと感じた理由を見てみると、「フリーWi-Fi」、「クレジットカード/デビットカード」「多言語表示」では、対応している場所の多いことがそれぞれ約8割で突出。「コミュニケーション」では、「スタッフが英語(又は自分の言語)を話せた」、「コミュニケーション機器を利用できた」といった理由が半数を超えた。また、「公共交通」では、「目的地への経路を簡単に特定できた」が8割を超える結果となった。
調査は2024年12月13日~2025年1月22日の期間中、新千歳空港、成田空港、羽田空港、関西空港、福岡空港で、日本を出国する訪日外国人旅行者を対象に実施。調査件数は4189件で項目は複数選択。