仏オー・ド・フランス地方、万博会場で地域の観光をアピール、「本物のフランス」感じられる体験を提供

フランス北部のオー・ド・フランス地方から、同地域圏議会や観光局などの代表者らが来日し、大阪・関西万博のフランスパビリオンで記者会見を開催した。

オー・ド・フランス地方は、隣国ベルギーに接し、パリやブリュッセルから高速鉄道で1時間前後でアクセスできる地域。国内で人口3位の地域圏であり、歴史や芸術、食文化、自然など、観光のテーマは幅広い。シャンティイ城やルーブル美術館別館、マティス美術館など、日本でも知られるコンテンツが多く、最近は「フランスらしさを体験できる場所」として、ライフスタイルに惹かれて訪れる旅行者も増えているという。

同地域圏議長のグザヴィエ・ベルトラン氏は「パリやロワール、コートダジュールなどに加え、当地域圏も日本人の旅行者に喜ばれる旅先になり得る」と、自信を示した。

オー・ド・フランス地域圏議長のグザヴィエ・ベルトラン氏

2024年の延べ宿泊数は1600万泊となり、前年を上回った。そのうち、26%は国外からの旅行者で、前年比12%増と2桁成長。日本人に限ると倍増したという。こうした好実績はパリ五輪の影響が大きいが、2025年上半期も前年同期を上回り、堅調に推移している。

同地方観光局局長のジャン=フィリップ・ゴルド氏は、堅調さの要因の1つとして旅行者の志向の変化を指摘した。人が集中する有名観光地以外を選んだり、移動を短くして現地滞在を充実させる傾向だ。移動の時間やコストを抑え、その分を現地での体験に充てようと、アクセスの良い旅先を選ぶ動きがあるという。

また、同地方が選ばれるキーワードとしてゴルド氏は「オーセンティック(本物)」をあげた。「以前は、ポストカードに描かれるような名所を訪れる旅行が中心だった。今は、その背後にある現地の文化や暮らしも重視される。それこそが旅で心に残るもの。観光に対する意識の変化を理解する必要がある」と話す。同観光局では、旅行者や地域の人々と対話し、旅行者が“本物のフランス”を感じられる体験の発掘に取り組んでいる。

世界遺産から美食まで、地域性を反映した多様な観光テーマ

記者会見では、同地方が有する多様なテーマと観光素材が多数紹介された。シャンティイ城とルーブル美術館のランス別館「ルーヴル・ランス」からは責任者が来日し、その魅力を直接説明した。

森に囲まれたシャンティイ城は、最後の所有者がフランス最後の王の子息で「当時の時間がそのまま閉じ込められた城」と評される。ルネサンス様式の建物や庭園のほか、古典絵画を当時の手法で展示するコンデ美術館や、王侯と関わりの深い馬の文化を当時の衣装による馬術公演などで伝える大厩舎などもあり、見どころが多い。

また、ルーヴル・ランスでは400点以上の作品のほか、修復作業の見学や非公開収蔵品の特別公開など、同館独自の体験を提供。炭鉱跡のボタ山が広がる世界遺産「ノール・パ・ド・カレの炭田地帯」の中心地にあり、景観も魅力になっているという。

このほか、世界遺産のゴシック建築「アミアン大聖堂」や、画家マティスが手掛けた「アンリ・マティス美術館」といった名所に加え、チーズやビールといった郷土の食文化、レース産業の工房、欧州最大の蚤の市など、観光のテーマに事欠かない。

同地域圏副議長のフランソワ・ドゥコステール氏は「文化保存に最も予算を配分している」と述べ、文化を重視した地域政策を説明。1930年代のアールデコ様式の市営プールを改装した美術館「ラ・ピシーヌ」は、アートによる地域再生の一例だ。ドゥコステール氏は「文化の豊かさがライフスタイルに反映され、温かなホスピタリティにつながっている」とアピールした。

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