世界旅行ツーリズム協議会、出入国時の手続き迅速化へ提言、ビザの完全デジタル化や生体認証導入、事前審査など

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)と航空輸送情報技術を提供するSITA社は、共同で「ベター・ボーダーズ(Better Borders)」レポートを作成した。そのなかで、2035年までに世界の旅行・観光産業のGDPは16.5兆ドル(約2525兆円)に達し、世界の労働力の12.5%を占めると予測されていることから、国境の近代化が今や戦略的に不可欠な要素であると主張している。

このレポートでは、旅行をよりシームレスかつ安全にするための6つの原則と18の推奨行動を提示。その一つとして、ビザと渡航認証の完全デジタル化に加えて、デジタルIDと生体認証技術の導入による国境手続きの迅速化と強化を求めている。

また、各国政府に対して、観光省、安全保障省、財務省間の連携の強化、渡航者の事前審査による国境混雑の緩和、旅行体験全体の向上を目指した渡航者との直接的なデジタル関係の構築を強く求めている。

各国の動向は?

米国、UAE、オーストラリアなどでは、すでにDXの成果が出ている。米国では、税関・国境警備局(CBP)が、CBP14か所の事前審査場所を含む238空港と、国際線出発ターミナル57か所で米国への入国審査で生体認証による顔照合技術を用いている。

UAEでは、AIを活用してビザ処理時間を大幅に短縮。また、AIは旅行者がビザ申請を正確に完了できるよう支援し、大幅な遅延を解消している。

オーストラリアの空港では、顔認識技術を用いて入国・出国手続きを行うスマートゲートを導入。2025年6月までで全入国者の79%がスマートゲート技術の利用資格を得て、そのうち約4分の3の旅行者がその利用を選択している。

リポートでは、調査の結果として、旅行者の75%が手作業よりも生体認証を好み、85%がより迅速でスムーズな体験につながるのであれば事前にデータを共有することに前向きであることが示されている。

Better Borders

※ドル円換算は、1ドル153円でトラベルボイス編集部が算出

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…