大手コンサルティング企業のEYは、調査レポート「EY-Parthenon CEO Outlook調査」を発表した。この調査は、世界のCEO 1200人(日本から70人)を対象に実施され、現状や将来に対する彼らの見解や楽観度を評価・分析したもの。
その結果によると、CEOの57%が地政学的・経済的不確実性は2025年以降も続くと回答。24%は、3年以上続くと予測した。一方、最新のCEOコンフィデンス指標(ビジネスの多様な側面にわたる世界のCEOの意識を、1~100のスコアで定量化した指標)は、83ポイントを記録し、前回(5月)の調査から7ポイントの上昇とした。
調査結果から、世界のCEOの間では変化と変革を前向きに受け入れる傾向が強まっていることもわかった。今後12カ月以内にポートフォリオの変革を加速するために投資を拡大する予定と回答したCEOは52% 。さらに39% が過去数年間と同水準の変革を継続する意向を示した。
また、長期的な戦略として現地対応化(Localization)や地域最適化(Regionalization) を進める動きも加速。調査の結果、CEOの72%が現地対応化を、63%が地域最適化を長期的な戦略と位置付け、38%が現地対応化を完了、さらに36%が実行中であると回答した。地域最適化についても、21%が実施済みで、35%が現在実行中となった。
このほか、CEOの約半数(48%)が従来型のM&Aを行う予定と回答。73%のCEOが、ジョイントベンチャー(JV)や戦略的提携への参加を見込んでいることもわかった。M&Aの進出先としては、米国が依然として最も多く選ばれており、カナダ、英国、インド、ドイツがそれに続く。
今後12カ月間の傾向としては、特に石油・ガス、保険、ヘルスケアの分野で最も高い意欲が示され、一方で、メディア・エンターテインメント、銀行、金属・鉱業、テクノロジーの分野では、JVや戦略的提携を選択する可能性が高いとしている。
日本企業CEO、JVや戦略的提携への意欲が高水準
日本のCEOについては、中国・台湾情勢、海外からの資源依存、円安・インフレなど複合的なリスクから、地政学的・経済的不確実性が「1年以上続く」と予測する割合は77%、「3年以上続く」と見る割合も46%と、いずれもグローバル平均を大きく上回った。
一方、売却・スピンオフ・IPOを計画する企業が76%と高水準となり、JVや戦略的提携への意欲も96%と突出して高い水準。単独でのリスクテイクよりも、パートナーシップを通じて新市場や新技術へのアクセスを図る姿勢が鮮明となった。
また、現地対応化を長期戦略と回答した割合は94%、地域最適化も74%と高く、双方を不可逆的な戦略転換と捉えていることもわかった。
