観光産業で初めての実態調査、売上高は86.7兆円 -観光地域経済調査

観光庁はこのほど、地域の観光経済の状況を調べる第1回「観光地域経済調査」(速報)を発表した。この調査は、従来の統計では把握できなかった、観光による地域産業への経済効果や、観光関連の事業所の実態を明らかにするため、初めて取りまとめたもの。全国の観光地域における約9万事業所を対象に、郵送調査が行われた。今回の発表は2012年(平成24年)に実施された平成23年値の速報で、2013年9月以降に分析結果を公表する。

調査によると全国の「観光地域」における観光関連の事業所数は116万5017で、従業者数は826万2994人、売上高は86兆7450億円。全ての事業における割合はそれぞれ事業所数19.3%、従業員数13.1%、売上高9.7%という結果が明らかになった。観光庁は、「売上高ベースでは観光産業事業所の規模が他の事業所に比べ、相対的に小さい」と指摘している。

また、観光産業事業所(*)の観光客による売上割合(観光割合)は14.1%。うち、観光客比率が過半を占める事業所の売上高は72.7%だった。観光割合を事業所の種類別に見ると、旅行業、そのほかの予約サービスが80.2%、宿泊サービスが58.2%、文化サービスが38.9%、旅客輸送サービスが27.9%などとなっており、事業所の種類によって大きく差が出ているようだ。

観光産業事業所(法人経営)による「仕入・材料費又は外注費」の支払先合計は32兆8640億円。支払先地域構成を見ると、「事業所が位置する市区町村内」が22.3%、「都道府県内」が38.8%、「他の都道府県」が35.0%。特に、主な事業を「宿泊事業」と回答した事業所は市区町村内への支払先割合が50.0%と高く、宿泊サービスは所在市区町村内からの仕入れが多く、地域経済への影響力が強いものと考えられる。

観光地域別の特徴では、都市部は観光産業事業所の観光客による売上高の絶対額は高いが、観光客による売上割合は低い。地元調達率は相対的に高い。地方部においては、観光産業事業所の観光客による売上高の絶対額は低いものの、観光売上割合は高く、地元調達率は相対的に低くなっている。


SNS活用、宿泊業は9.1%、観光事業は4.1%

提供サービスやマーケティングの分野では、「パソコン対応の自社ホームページがある」と答えたのは宿泊事業では59.0%、観光産業事業所では23.8%。「ソーシャル・メディアを利用したプロモーションを実施している」と答えたのは宿泊業で9.1%、観光事業所で4.1%にとどまる。「外国語による案内表示ができている」と答えたのが宿泊業で6.9%、観光事業所で2.4%と低かった。

*観光庁が定義した「観光産業事業所」


世界観光機関(UNWTO: World Tourism Organization)が規定するTourism Industriesの分類に対応する業種のうち、観光客に対して直
接商品の販売又はサービスを提供する業種で、それに該当する日本標準産業分類(平成19年11月改定)に属する事業所。観光客に対して直接商品の販売又はサービスを提供する、宿泊サービス、飲食サービス、旅客輸送サービス、輸送設備レンタルサービス、旅行業、その他の予約サービス、文化サービス、スポーツ・娯楽サービス、小売の8業種。

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