海外旅行トレンド分析の定番「JTBレポート」2015年版が発刊、個人旅行は初の5割超、今年はインバウンドと日本人海外旅行が逆転へ

JTB は、2014 年の日本人海外旅行マーケットの実態をまとめた「JTB REPORT 2015 日本人海外旅行のすべて」を発行した。 1988 年以来、今年で28 回目の発行になるこのレポートは、独自のアンケート調査や各関係機関の統計資料に基づき、 JTB総合研究所が海外旅行マーケットの動向や構造を分析し、編集・発行したもの。7 月 29 日からJTB総合研究所のホームページで販売する。

レポートの概要によると、主要旅行業者の取扱状況は2014年を通じて国内旅行を中 心に堅調に推移。旅行需要全体に対する2014年4月の消費税率引き上げの影響は小さくなかったとみられるものの消費者の旅行に対する支出意欲は底堅かったと分析。

海外旅行は旅行者数では前年比3.3%減、主要旅行会社の取扱額ではほぼ前年並みとなった。低迷の理由として 2014 年半ば以降に円安が一層進んだこと、燃油サーチャージが年間を通じて高止まりしていたことなどを挙げる。また、円安や国際観光需要の成長などによる現地のホテル代などの上昇傾向があったため、2014年の海外旅行単価には上昇圧力がかかっていたとした。

2014年における性・年代別の出国率(旅行者数を人口で割った比率)を前年と比較すると、20代後半の女性の出国率が目立って低下。テロや災害、感染症などの心理的要素よりも、円安、燃油サーチャージなどの経済的要素の現実的なコストの問題がより大きかったことを理由として挙げた。 また方面別では、エボラ出血熱やテロに対する不安などの影響でヨーロッパなどへの旅行者数が減少。ヨーロッパ方面に関しては経済的要素よりも不安心理の方が強かったと推測されるが、その影響力は特定の方面に限定されていたとした。

一方、 日本への外国人旅行者数(インバウンド)は2年連続で前年比2桁の伸びとなった。外国人旅行者が日本国内で消費した金額から日本人旅行者が海外で消費した金額を差し引いた国際旅行収支の赤字は2014 年には 700 億円まで縮小、 2015 年には黒字化すると予想。同様に年間の旅行者数についてもインバウンドがアウトバウンドを上回る可能性を指摘している。

JTB総研作成。報道資料より。

JTBが毎年実施している「海外旅行実態調査」によれば、2014年は観光目的の旅行における個人旅行の割合が 56.5%となり、はじめて50%を超えた。消費財だけでなく、旅行商品でもオンライン予約が一般的になってきたことが個人旅行比率の急上昇を可能にした分析、また、パッケージ比率の高いヨーロッパ方面の旅行の減少も影響していると推測している。

今後の見通しについては、国内旅行を含む旅行マーケット全体の需要は、名目賃金の上昇などの経済的環境も手伝って好調に推移しているものと予測。旅行意欲は引き続き堅調で2016年にかけても、この基調が大きく変わるとは考えにくいとしたうえで、中韓方面の状況や円安、航空機の座席供給数などの推移が今後の需要に大きく影響するとしている。

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