観光白書(平成28年度版)を発表、規制・制度見直しや海外OTAと連携強化など重点取組み提示 -観光庁2016

観光庁は2016年5月13日、2016年度(平成28年度)版観光白書を発表した。昨年の国内外の観光動向や施策、2016年度の施策やビジョンに加え、「成長する世界の旅行市場を我が国の活力に」をテーマとした国内の課題整理、海外事例などをとりまとめている。

白書の中では、訪日外国人旅行者数の政府目標を2020年に4000万人に設定し、観光先進国を目指した10の改革を提示した「明日の日本を支える観光ビジョン」を踏まえた2016年に予定する施策もとりまとめ。(1)観光資源の魅力を極め、「地方創生」の礎に、(2)観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に、(3)すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に、の3項目を掲げている。

2016年の施策概要は以下のとおり。

観光資源の活性化 -免税店の積極展開や東北6県の観光復興へ

「地方創生」に着目した施策では、地方の商店街における消費税免税店数の目標設定(2020 年に2万店規模へ増加)を2018年に前倒しを実施。免税対象となる購入下限額の引き下げや海外直送時の手続き簡素化、カウンター設置や市中保税売店の積極展開を進める。

また、東北の観光復興施策としては、東北6県の外国人宿泊数を「2020年に150万泊(2015年の3倍」を目標に設定。全世界を対象としたキャンペーンや復興対策交付金による重点支援のほか、PTAなどによるファムトリップ(視察)実施などをおこない、防災学習を含めた東北への教育旅行の再興を促進するとしている。

観光産業の革新 -規制・制度見直しや海外OTAと連携強化など

ここでは、観光産業を対象とした規制・制度見直しを提示。対旅行業では、第三種旅行業者や宿泊施設といった地域密着型の事業者が、着地型旅行商品を企画しやすい制度の整備を検討。宿泊業に対しては、課題抽出や事例策定のなから業界全体の生産性向上を抽出するほか、ICT化などによる業務効率化・生産性向上を実施。さらに、現在進行中の「民泊サービスの在り方に関する検討会」の最終報告を経た法整備や民間による宿泊施設の評価制度の導入などを推進。多様な宿泊サービスの提供促進・実現に向け、広く検討をおこなう。

オリンピック後を視野に置いた訪日プロモーション施策としては、欧米豪からの旅行者増を狙う取り組みを促進する。例えば、海外オンライン旅行会社との連携強化や共同キャンペーンなどを通じて価格的な訴求力を高め、誘客につなげる。さらに、アウトバウンド活性化施策としては、若者に着目。旅行関連団体などと連携を行い、若者向け割引サービスの開発や浸透に取り組んでいくとしている。

ストレスのない観光へ -出入国審査やキャッシュレス環境の向上へ

「すべての旅行者にとってストレスのない観光」を目指す施策では、入出国審査のプロセス改善や、旅行中の通信環境、キャッシュレス環境向上を目指す取り組みを推進。外国人旅行者に向けた多言語対応を確実に進めるほか、医療機関における外国人患者受け入れ体制充実も進める。

また、観光分野のビッグデータ・オープンデータ化を通じてモデルケースを検討。地域の取り組みの調査などを積極的に進めていくとしている。

2016年度観光白書は以下ウェブサイトから閲覧できる。

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