国鉄分割後のJR旅客6社の経営を比較調査、利益構造の違いと鉄道事業の規模感が鮮明に -TSR

東京商工リサーチは、九州旅客鉄道(JR九州)が東京証券取引所1部と福岡証券取引所に上場したのにあわせ、1987年の国鉄分割民営化で発足したJR旅客6社の経営状況を発表した。同6社での株式上場は1993年10月の東日本旅客鉄道(JR東日本)、1996年10月の西日本旅客鉄道(JR西日本)、1997年10月の東海旅客鉄道(JR東海)に次ぐ4社目。

東京商工リサーチによると、先に上場したJR3社は利益率の高いドル箱路線を有し、鉄道事業の営業利益は黒字を維持。一方、北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、JR九州の3社は、沿線人口の減少などにより鉄道事業の赤字が続き、上場は厳しいとされていた。このなかでJR九州は鉄道事業への依存からの脱却を図り、株式上場を実現したとしている。

JR6社の2016年3月期の業績を見ると、JR東日本とJR東海は民営化後で過去最高の売上高と純利益を計上。JR西日本も過去最高の純利益を計上した。JR九州は上場に向けた固定資産の減損処理により大幅な赤字となったが、売上高は過去最高を更新。本業の鉄道事業の営業利益では、上場3社は黒字となったものの他3社は赤字だった。

また、非上場だった3社は単体の売上高に占める非鉄道事業(関連事業)の割合が上場3社より高いことも特徴。特にJR九州は年々上昇し、2016年3月期には構成比が19.8%にまで拡大、売上高でもJR東海やJR西日本を上回った。グループ連結での同事業の売上比率は約6割に達しており、JR九州が脱鉄道事業で本業の赤字をカバーしていることが表れているという。

発表資料より

なお、全国の主要鉄道会社22社との比較では、2015年度の売上高はJR東日本が1位となり、次いでJR東海、JR西日本の上場3社がトップ3を占めた。JR九州は4位の東急、5位の東武鉄道に続く6位。JR北海道は18位、JR四国は22位だった。

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