料金変動しない若者向け新ホテル、星野リゾートが開業へ、タビナカ観光をネット販売する地域限定旅行業の参入計画も

星野リゾート代表の星野佳路氏は2018年9月27日、定例プレス会見で進行中の新企画や今後の展開を発表した。

このなかで注目を集めたのは、若者向けの新ホテル「星野リゾート BEB(ベブ)軽井沢」の開業。星野氏は「20代・30代の旅行参加率が減少している。これは、日本の観光にとって大きな懸念事項」と、開発を決めた背景を説明。日本の観光消費額の85%が日本人であるとし、「ここが落ちると、インバウンドが増加してもマーケット全体では縮小してしまう。今後の旅行市場を担う若者の旅行の参加率を上げ、最低でも落とさないようにする努力が必要」と、将来を見据えた施策であることを説明した。

また星野氏は、若者の旅行参加率が低い原因を探る明確な調査結果がないことにも言及。ホテルの供給側として「日本全国の宿泊施設が20代の旅行ニーズに対して、価格を含めて向き合ってこなかったのではないか」とも指摘し、BEBは日本の若者のニーズに向き合ったホテルであることも強調した。

米国の大手ホテルチェーンが「ミレニアル世代向け」ブランドを開発し、日本でも展開し始めているが、「米国と日本では同じ世代でもマーケットの内容が違う。米国の同市場規模は巨大かつ消費も積極的で、日本の同世代に当てはまるとは思っていない」との認識だ。

BEBはテスト的な位置づけで、軽井沢の星野リゾートの敷地内に2019年2月5日にオープン。特徴は大きく2つ。1つは、飲食の持ち込みやごろ寝など、自由に過ごせる大型パブリックスペースを持つ“ルーズ”なホテルであること。2つ目は、宿泊料金を平準化し、年間を通して均一価格で提供すること。1室1万8000円~2万8000円。35歳以下の限定プランの場合、通年で1室1万6000円(2名利用時は1名8000円、3名では1名5000円強)の設定だ。

星野氏によると、価格設定は第1に若者の予算感、第2に価値観を踏まえたもの。「料金の変動がなく、わかりやすい料金体系になる。例えばマクドナルドはいつも同じ価格で、ピーク料金などはない」と説明する。20代・30代がメインターゲットであることを強く打ち出してサービス内容などのトライを重ね、「実績ができれば(新ブランドとして)展開するチャンスがあると思う」と期待する。

BEBの最大の特徴となる大型パブリックスペース「TAMARIBA(たまりば)」。友達の家のようにリラックスしてルーズに過ごせるがホテルのテーマ

試験合格で地域限定旅行業に参入

今回の定例発表会では、地域限定旅行業への参入計画も発表された。出発前に送客側が作り出した旅行を予約する発地型から、現地の事業者が作り出した観光の魅力をタビナカで直接見て参加を決める着地型へと移行していることを「日本の観光のテーマ」とし、星野リゾートでも「周辺のペンションやホテルなどの宿泊施設をオンラインで販売する」(星野氏)と明かした。

販売する場所は、星野リゾート傘下のスキー場「星野リゾート アルツ磐梯」のホームページを予定。規制緩和で今年から設定された「地域限定旅行業務取扱管理者試験」に、同スキー場から4人が受験しており、1人でも合格すれば今年冬から実施する。全員が不合格の場合は撤退するという。同試験の合格発表は2018年10月24日だ。

星野リゾート代表 星野佳路氏

このほか定例プレス発表会では、2019年初夏に台湾に開業予定の「星のやグーグァン」の詳細や、「星野リゾート 界」ブランドでの開業(2020年春~秋)に向けてパートナーシップ協定書を締結した北海道・白老町でのプロジェクト概要などについても発表。

星のやグーグァンについては、宿泊の6割を台湾市場、4割を日本人含むインバウンドで見込む。集客については、自社ウェブサイト販売の強化のほか、ロンドンやニューヨーク、シドニーなど海外でも開催している定例プレス発表会などで、アピールを強めているという。

星野リゾートは現在、4つのサブブランドとその他ブランドの宿泊施設で、海外2拠点を含む計37拠点を運営。取扱高は年間509億円に及ぶ。2019年には前述のBEBと星のやグーグァンの2拠点、2020年にはまちづくり再生事業と一体となった「星野リゾート 界 長門」(3月)2022年には大阪・新今宮に都市型観光ホテルブランド「OMO」の開業を予定する。また、4つのサブブランドのうち、温泉旅館の「星野リゾート 界」では、現在の14拠点から30拠点への増加を目標としている。

記事:山田紀子

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。