観光庁、持続可能な観光へ先進事例を公開、国内外からマナー違反対策や混雑緩和など

観光庁は、2018年6月に設置した持続可能な観光推進本部が収集した国内外の先進事例について、先ごろ取りまとめた今後の取り組みの方向性「持続可能な観光立国に向けて」とあわせ、公表した。

これらは2018年10月から2019年5月にかけ、観光庁が実施した関係自治体や事業者等への聞き取り調査と、文献やウェブサイト調査などの結果、国土交通省が実施した調査の結果を取りまとめたもの。オーバーツーリズムを含む持続可能な観光の推進に向け、対策を類型別に整理して、事例を紹介している。

例えば、「観光地の混雑緩和:分散」では、京都市が嵐山で2018年の紅葉時期に実施した「観光快適度の見える化による分散」の取り組みを紹介。日時やエリア別に予測した快適に観光できる度合いを専用サイト上で見せることで、混雑していない時間帯での訪問や周辺エリアへの回遊の促進を図った。この結果、期間中の訪問者のうち、アンケート回答者の約1割が専用サイトの存在を認知し、そのうちの33%が実際に利用したことが判明。利用者の84%は「参考になった」とし、混雑している時間帯を回避したり、他エリアを回遊したりする行動が見られた。

「道路渋滞の混雑緩和」では、神奈川県箱根町が2005年から導入している「道路状況WEBカメラによる道路混雑状況の見える化」を紹介。年間2000万人前後で観光客数が推移する箱根町では、観光業の従事者も近隣地域からのマイカー通勤が置く、来訪客と住民・通勤者による慢性的な交通渋滞が課題だった。そこで、当初は主に観光事業者の通勤者や地域住民向けに、道路状況を閲覧できる取り組みを開始。現在は観光客にもウェブカメラを見てもらうよう案内をしており、交通渋滞の緩和や渋滞情報、冬季の路面状況に対する問い合わせも減少した。

「観光地マネジメントの主体」では、岐阜県高山市の「官民協働による取り組み」を取り上げた。2000年に行政と民間を合わせて約40団体が参加する「飛騨高山観光誘客協議会」を設立し、各者による一定割合の負担金のもと誘客事業を行なっている。官民共同の取り組みで市民の理解も得られたほか、ムスリム向けの散策・飲食マップやソバの食べ方紹介など、自主的に外国人旅行者の受入対応に取り組む民間事業者も多い。2018年には観光客数約444万人、そのうち外国人宿泊者は人口の約6倍となる約55万人を受け入れながらも、同市では「オーバーツーリズムの状況ではない」との認識だ。観光庁では事例集内で、高山市の事例を参考にオーバーツーリズムを未然に防げる可能性があると記述している。

このほか、「SNSによるマナー啓発情報及び罰金を含むルールの周知」(アムステルダム)や、「ゾーニング(場所、利用期間、使われ方の導入)」(バルセロナ)、「住民主体の環境認証制度の導入」(ニュージーランド カイコウラ)など、海外のコミュニティやDMOなどの取り組みも紹介している。

先進事例の詳細は、以下のリンク先へ。



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