カナダ・ケベック州、持続可能な観光を重視するイベントに補助金、観光大臣ら来日で方針発表

先ごろ、カナダ・ケベック州から州政府観光大臣カロリーヌ・プル氏が来日し、日本メディアに対するグループインタビューに応えた。プル大臣は、新しい観光政策綱領で持続可能性を重視する姿勢を明らかにしており、そのための各種施策や観光客誘致の具体的な活動を聞いた。

※写真左:ケベック州政府観光大臣カロリーヌ・プル氏、右:ケベック州観光産業連盟社長兼CEOのマーティン・スシー氏

プル大臣は、「2020年の春に発表される州政府の新しい施策の中に観光業も持続的な開発目標の一部でなければならないことを明記、そのための助成金を用意した」ことを明かす。具体的には、観光客が訪れるフェスティバルなどを実施する際、環境に配慮し、かつ持続的発展に寄与する案件にはより高い補助金を出すインセンティブを付与するというものだ。

自然保護の面でも、国立公園はじめ、森林地帯、50万以上もある湖などの豊かな大自然は州の観光資源の要であり「環境を十分に保護しつつ観光を進める」考え。また、世界各地で問題となっているオーバーツーリズム(観光客の増えすぎ問題)は、ケベック州には発生していないとの認識だという。その理由として、土地が広く集中化が避けられること、すべての季節で観光が可能なために特定の季節に集中しないことを挙げた。

今後の観光客誘致では、カナダの大きな特色である先住民ツーリズムにも積極的に取り組む方針。先住民文化を体験したいという外国人旅行者の需要が高く、特にフランス、ドイツ、アメリカなどの旅行者にその傾向が顕著という調査結果もあるという。先住民ツーリズムの推進のためには、各地域との連携や理解が重要との考えで、11の先住民コミュニティとそれぞれ協議をし、どのように観光を進めていくべきかを話し合っているところだ。

最近は、先住民レストランも注目されるようになり、ケベック市内のヒューロン族居留地ワンダケにあるレストランSagamité(サガミテ)のように、カリブーなど先住民の伝統的な食材を腕の良いシェフが調理して出す店も先住民ツーリズムの一例として挙げた。

日本市場が好調、旅行比較サイト「トラベルコ」と年間タイアップも

プル大臣によると、カナダを訪れる外国人旅行者の平均滞在日数は7.1日と長い。そのなかで、日本は新興市場という位置付けだが、昨年6月からエア・カナダ(AC)直行便が就航してから1年でケベックをゲートウェイとしてカナダに入国する日本人が前年同期比118%に増加。今年に入ってからも好調さは続いており、2019年には3万人の日本人訪問者を見込んでいるという。

今回の来日は観光ミッションとともに実現したもので、これに合わせてケベック州観光局は、旅行比較サイト「トラベルコ」を運営するオープンドアと1年間のタイアッププロモーション契約を発表、覚書締結のセレモニーが行われた。

ケベック州では昨年6月のエア・カナダ(AC)の成田/モントリオール線就航以降、日本市場へのマーケティング活動を強化しており、今回のMOU締結はその一環。関連企業協力のもとケベック州観光局は「トラベルコ」のウェブサイト上で1年間、4回にわたりプロモーションを実施する。

同プロモーションのターゲットは女性、2000年代生まれの若者、50才代。ケベック州観光産業連盟社長兼CEOのマーティン・スシー氏によると、都市、自然、地元の技、ケベック特有の文化、セントローレンス川の動物という5つのテーマで展開していく予定。同州はトラベルコの月間利用者370万人というアクセス数の多さや700以上の旅行商品へのリンクを評価したという。

同サイトからのマーケティングデータを得ることで、「日本市場のケベックへの期待を細かく知る」ことにも期待する。また、オープンドア執行役員で企画営業部の阿部岳志氏によると、スポットでなく年間を通してのタイアップはトラベルコでも珍しいケースで、「トラベルコで特集をすることで、提携旅行会社が商品を造成するため、ケベックの商品が確実に増える」とコメントした。

発表のセレモニーでは、プル大臣が「観光業はケベックの需要な産業で、インバウンド(海外からの旅行者)に力を入れる中で日本は重要なマーケット。今回のオープンドアとの締結はケベックの観光業にとって大きな機会で、2018年に好調だった日本市場をさらに伸ばせると思っている」と期待を示した。

オープンドア阿部執行役員、ケベック州のプル観光大臣、ケベック州観光産業連盟スシーCEO、共催パートナーらとともに

取材・記事 平山喜代江

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