世界6カ国の観光回復トレンド調査、国内旅行や予約の間際化が顕著に、重視するのはキャンセルの柔軟性 -フォーカスライト分析

トリップアドバイザーと旅行調査大手「フォーカスライト」がこのほど、それぞれのデータを持ち寄り、日本を含む世界6つのマーケットにおける人々の旅行意欲について共同調査をおこなった。旅行に求めるものや、予約行動の変化を分析したもの。

2020年11月に開催されたオンラインイベント「フォーカスライト・カンファレンス2020」では、この共同調査結果から浮かび上がったポイントについて、フォーカスライトのリサーチ・マネジャー、アリス・ジョン氏が解説。「健康と安全が最優先」「国内旅行へのシフト」「新鮮な空気があるところ」「滞在日数の短期化」などのトレンドについて紹介した。

また、国内旅行でも海外旅行でも、予約の間際化が進み、「出発の1カ月以内に予約を入れる」との回答が増加する一方、旅行のプランニング開始時期はむしろ早まっており、より早い段階からリサーチを開始する傾向が明らかに。その際、重視されているのはキャンセルポリシー(予約キャンセルの注意事項)の柔軟性とジョン氏は指摘した。

続いてQ&Aセッションに登場したトリップアドバイザーのスティーブ・カウファーCEOは、パンデミックを機に始まり、収束後も残るトレンドとして「アウトドアや自然を楽しむ旅行志向。もちろんこれまでもアウトドア需要はあったが、都市での観光を楽しむ方が好きだった人が、アウトドアライフに目覚めるきかっけになったのではないか」と指摘した。

下記のグラフは、「パンデミック以前と比較して、アウトドアや自然を楽しむ旅行を検討する可能性が高いですか?」という設問への回答をまとめたもの。オレンジ色は「減少する」、水色は「今までと同じ」、紺色は「増加する」と回答した割合。日本では約半数が「増加する」と回答していることがわかる。

コロナ禍以前と比較した「アウトドアや自然を楽しむ旅行志向」 (出典:トリップアドバイザー消費意欲調査)

またカウファーCEOは、需要回復にかかる時間は「月単位ではなく、四半期単位で考える必要がある」と指摘。旅行マーケットはこれまでもテロや地震など、様々な苦難を克服しており、人々の旅行意欲は必ずリバウンドしてきたものの、今回のパンデミックはかつてないほど深刻だとの見方を示した。同社でも、「まずは現金と流動資産の確保や、取引先との再交渉など、長い回復期に耐えられるだけの資金繰りを担保し、その次のステップとして、新しいBtoBプロダクトや消費者向けのサブスク型商品『トリッププラス』などに着手している」と話した。

新しくなったトリップアドバイザーのコンテンツについては、ソーシャル機能を充実させること、同社の代名詞でもあるレビューに加えて、旅行媒体やインフルエンサーからの関連コンテンツを増やすことで、「もう少し、旅行者にインスピレーションを与えるような情報を厚くするのが狙い」と話した。ユーザーの口コミを土台としつつ、編集記事などを加えることで、旅行を計画する人にとって、より分かりやすく、価値ある旅行情報サイトを目指すとの考えだ。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:Charting the recovery

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