日本旅行、過去最大の赤字127億円、新社長「生き残りかけてかじ取り」、店舗は半減、社員3割減へ

堀坂氏(左)、小谷野氏(右)

日本旅行は2021年3月18日、代表取締役副社長の小谷野悦光氏が代表取締役社長に就くと発表した。社長交代は4年9カ月ぶりで、代表取締役社長の堀坂明弘氏は特別顧問に退く。新型コロナウイルスで旅行需要が激減し、2020年12月期連結決算は過去最大となる127億円の最終赤字に転落。抜本的な構造改革、組織スリム化が急務となるなか、経営体制刷新で改革のスピード感を高める。

「生き残りかけてかじ取り」小谷野氏

社長人事は3月26日の株主総会後の取締役会で正式決定する。小谷野氏は西日本旅客鉄道(JR西日本)出身。旅行部門の営業や経営管理など幅広い部門を経験し、現在も営業企画部、事業共創推進部、デジタルイノベーション推進部、MaaS事業推進部など中核となる事業を本部長として束ねている。

3月18日開催した記者会見で小谷野氏は、「全世界で旅行が止まる未曾有の事態で、生き残りを賭けてかじ取りしなければならないと痛感している。新たなアライアンスパートナーとの連携によるソリューションビジネスへの転換、西日本をはじめとした地域創生の中心的存在を確立して生き残る」などと意気込んだ。

店舗半減、社員は2022年度までに3割減らす

日本旅行は同日、2020年12月期(2020年1月1日~12月31日)の連結決算、および中期経営計画「TRANSFORM 2025」の見直しも発表。2020年の決算は、営業収益が前期比56.7%減の237億800万円で、営業損失が116億2100万円(前期は15億3500万円の黒字)、経常損失が93億6200万円(同25億1600万円の黒字)に膨らみ、最終赤字は過去最大の127億9100万円(同16億2400万円の黒字)に落ち込んだ。

コロナ禍での厳しい経営環境を踏まえ、グループ全体で運営体制、コスト構造を大きく見直す。個人旅行店舗は2020年度末の194店舗から2022年度末には約90店舗と半分以下に減らす。法人営業も、大都市シフトと大規模拠点化を推進し、各地域では着地対応に集中する。また、海外企画商品の添乗員付きはヨーロッパに特化。他方面はウェブ販売、ダイナミックパッケージへのシフトを加速する。

こうしたスリム化を踏まえ、社員数は2022年度に2019年度と比べて3割減らす計画。ただし、新卒採用の抑制、グループ外出向で対応し、当面、希望退職を募る考えはないとしている。

アライアンス加速し、非旅行業分野へ事業領域拡大

一方、中期経営計画の見直しでは、従来の旅行代理店業から脱却すると明言。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進とともに、注力するのが法人営業における非旅行業分野への事業領域拡大だ。新たなアライアンスパートナーとして、コンサル、情報・通信、システム、人材派遣などと連携。移動を前提としない大会・会議運営、ハイブリッド型MICE、戦略策定、海外物販などへの進出を目指す。

個人旅行はウェブ販売モデルへ転換し、JR西日本との連携を強みにJRセットプラン販売を強化。国内企画商品「赤い風船」のウェブ販売率は2019年度の38%から、2025年度に70%にまで高める。また、店舗はオンライン接客を拡充。顧客データの統合をベースに個人旅行営業全体のオムニチャンネル化、ウェブとリアルの垣根をなくしたOMOを進める。

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