世界の旅行現場で「ワクチン接種証明の確認」の混乱、規制緩和で旅行需要高まるなか、新たな悩みの種に【外電】

世界中の旅行関係者が旅行再開に安堵する一方で、ワクチン接種を偽る旅行者への対応に悩まされるツアーオペレーター(旅行先の現地手配・運営会社)が増えている。コロナ禍から立ち直ろうとする会社にとって、予期せぬリスクだ。

ここ数ヶ月、多くの国が観光客受け入れを再開しているが、その条件のひとつとして、ワクチン接種の完了を義務付けている。世界では多くの旅行者が、ワクチン接種の理由として、再び旅行に出たいという願望を挙げる。しかし、ワクチンを受ける意思なく、旅行に出かける人が多いのも事実だ。それが、ツアーオペレーターにとって大きな問題となっている。

すでに新型コロナウイルス感染防止対策でさまざまな取り組みを実施しているなかで、問題を解決するためには、ワクチン接種を偽って予約をする旅行者の一歩先を行く必要がある。ワクチン接種の完了を義務付けているツアーオペレーターは多いが、その確認作業は頭痛の種。特に海外旅行では、その要件が頻繁に変更されるため、さらに難しい問題となっている。

国によって異なる証明書の真偽を確認する術なし

英国拠点のトラファルガーツアーは、2021年9月1日からツアー参加者全員にワクチン接種を義務付けているが、同社米国社長のメリッサ・デシルバ氏は「証明カードが正式のものかどうか確認する術はない」と話す。

トラファルガーツアーの場合、「ワクチン接種済み」「直近で新型コロナ感染者への接触なし」「PCR検査で陽性と判明した人と旅行14日前までに接触なし」などを確認するが、すべて参加者の自己申告に頼っているのが現状だ。また、スタッフは、参加者が提示するCDC発行のワクチン接種カードを確認するが、デシルバ氏は「他の情報は全く確認することができない」と嘆く。

ツアーオペレーター4社を傘下におくグローバス(Globus)は、同社CMOのスティーブ・ボーン氏は、「基本的に航空会社や現地当局の手順通りにチェックを進めるが、ワクチン接種証明は国によって大きく異なる」と戸惑いを見せる。

米マサチューセッツ州のマラソン・ツアーズ&トラベル社長のジェフ・アダムス氏は、米国の空港での混乱ぶりを例を挙げて紹介する。ある欧州の航空会社の空港スタッフが顧客のワクチン証明書に表示されていた製造会社を勘違いしたため、その顧客はドイツへのフライトへの搭乗を拒否された。この顧客は、入国要件で承認されているジョンソン& ジョンソンのワクチンを接種していたが、証明書にはその関連会社の「ヤンセン(Jasen)」が書かれていたため、空港スタッフは搭乗を認めなかったのだ。

ツアーの顧客はロンドンマラソンへの参加者だが、ロンドンに到着した後も混乱は続いた。なんと、大会中5回も検査を受けなければならない。大会前のマラソンEXPOに入場するためにも検査。また、別のイベント参加するためにも検査。アダムス氏は「現状、旅行をするためには何層もの手順を踏まなければならない。まったく、新しい言語を勉強しているようなものだ」と呆れる。

ワクチン接種の証明ツールとしてアプリの利用が注目されているが、アダムス氏は「あらゆる手順に適応するアプリはない」と話す。したがって、同社では、証明書カードを置き忘れたり、盗まれたりした場合に備えて、その写真を撮り、バックアップとしてスマホなどに保管しておくことを勧めている。

加えて、アダムス氏は、会社が規則に違反しないように、事前の準備が非常に大切になってくると強調する。例えば、ロンドンマラソンの場合、開催中に行われるイベントごとに、その会場となるホテルに参加者リストを提出する必要がある。さらに重要なことは、参加者がいつ、どこで、どのワクチンを接種したかを出さなければならない。アダムス氏は「それは非常にストレス」と明かす。

それでも、多くのツアーオペレーターは、そのような煩雑な手続きを喜んで我慢するだろう。アダムス氏は「我々の顧客にとって、それは問題にはならない。なぜなら、彼らは再び旅行に出かけられることが嬉しくてたまらないからだ」と話した。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:Growing Vaccine Passport Fraud Leaves Tour Operators Struggling to Crack Down

著者:ラシャード・ジョーダン氏

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