観光DXとは何か? 日本と世界の最新動向と、スタートアップ5分野での成功事例を整理した ―トラベルボイス調査レポート

デジタル化が遅れているといわれる日本の観光産業。一方で、観光DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれるが、そもそも観光DXとは何か? 日本では、いまだ一般企業の業務レベルや宿泊業のオペレーション等にとどまっている。

トラベルボイスでは日本の観光DXの概略とともに諸外国の観光地の事例を探る調査レポートを作成した。今後、観光産業でイノベーションを起こすようなテクノロジーなど、その概略をレポートする。

トラベルボイス調査レポート

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「開発」と「活用」に分けて展開する日本

DXとはデジタル技術を活用し、製品・サービス・ビジネスモデルにとどまらず、風土・業務なども変えることである。観光分野も含め、まだ発展途上であり、まだ確固たる理論やセオリーが整備されているとはいえないが、観光庁は「DXの推進による観光サービスの変革と観光需要の創出」(2021年6月)として、観光サービスの変革(開発事業)と「観光需要の創出」(活用事業)に分けて事業展開し、体験価値の向上と観光消費額の増加への寄与を目指すとしている。

具体的には、2021年度のDX関連予算として、オンラインツアーを活用した来訪意欲の増進、デジタル技術を活用した観光コンテンツ・価値の創出、観光地経営を対象に振り分けた。これまで採択された案件をみると、分析基盤・可視化、顧客管理、移動・物流、リアルタイムデータ取得、周遊促進、消費促進、情報提供、観光コンテンツ・体験、決済の9カテゴリーにマッピングされる。さらに、2022年度予算には、XRや5Gの活用、リアルデータ等のデータ活用、バーチャル空間を活用した取り組みを追加した。対象は地方公共団体・DMO、地域の観光事業者、先進技術を保有するベンチャー・大学、企業等からなるコンソーシアム・団体だ。

日本における観光DXの9カテゴリー:過去の採択案件から分析

スマートツーリズム推進する欧州の動向とは?

一方、諸外国はどう取り組んでいるのか。欧州委員会では2018年からスマートツーリズムを推進しており、核となるのがデジタルの促進だ。2019・2020年の観光DXのベストプラクティスに選ばれた地域事例からいくつかを紹介してみよう。

まず、スマートマネジメントのための情報収集として、観光客と地域住民の交通量コントロールで成果を上げたのが、ドイツ・カールスルーエ。モバイルアプリを通して交通渋滞が生じた際だけでなく、駐車場の状況、バスや鉄道へのルート等の公共交通に関する情報をリアルタイムで提供している。その情報には、建設現場、電気自動車の充電場所、バリアフリーに対応した駐車場も含まれている。スウェーデンのヨーテボリでは、イベントによる影響を経済・社会・環境的な側面から簡易に分析できるツールを公開。行政などのステークホルダーとの交渉やスポンサーの誘致などに活用されている。

日本と同様に、観光客の体験価値向上のために、3DやVRを活用した取り組みも進みつつある。バーチャルツアーの先駆者として知られるのは、スペインのサラマンカ。2010年に開始した当初は写真のつなぎ合わせに過ぎなかったが、現在はVRグラウを使って3D(360度バーチャルツアー)の映像を楽しむことができる。

日本のRESAS(地域経済分析システム)のように、観光に特化した情報をBI(ビジネスインテリジェンス)を用いて共有するケースも増えている。欧州委員会は2015年から観光関連の分析データやレポートを共有。欧州28カ国の観光関連データがBIツールを通して調べることができる。アルゼンチンのブエノスアイレス観光観測所も分析データを公表。ビッグデータ解析を用いた将来予測や観光客の動向等の分析を公表することで、民間企業や研究者、公的機関の観光関連の意思決定をサポートしている。

続々と誕生する海外スタートアップの観光DX

では、より具体的に、観光産業において今後イノベーションを起こすようなテクノロジーはどのようなものがあるか。近年、旅行とモビリティ分野で成長しているのがタビナカ支援、陸上交通、ホスピタリティ、航空、スマート・観光地装置・予約の5分野。トラベルボイス調査レポートでは、各分野の成功事例を紹介している。その中からタビナカ支援、スマート・観光地想起・予約から1事例ずつみていこう。

成長がめざましい観光DXの5分野:海外の最新事例より

まず、タビナカ支援でエジプトベースの企業発の「Hichhiker」は、海外でほしい商品がある人が、現地に赴く予定の旅行者に購入を頼み、購入してもらう個人間をつなぐアプリだ。現地でしか買えないものがほしいが、代行購入サイトだと高いといった消費者と、旅先で余っているスーツケースのスペースを使ってお小遣い稼ぎしたい旅行者とをマッチング。買い物代行業者の徴収する手数料よりも安価に海外のものが手に入るという点で評価されている。商品は1000ドルまで保険がかけられているほか、商品購入する旅行者へのクチコミ評価で信頼性を担保している。

もう1つ、「Youtip」は、デジタル時代のチップ支払いサービスである。旅行者との接点でのチップのやり取りをデジタル化。開発の背景には、決済のキャッシュレス化が進み、旅行会社が現金を持ち歩かなくなったことでサービス業の従業員の収入が減少していたことがある。従業員のモチベーション維持に加え、デジタル化することでチップの管理も簡素化できるようになった。

こうした最新事例に加え、観光DXを下支えする資金の流れ、世界観光機関(UNWTO)の観光スタートアップ&イノベーションTOP100をまとめた付属資料も必読だ。観光客の体験価値向上が求められるなか、鍵を握るのが観光DXの促進だ。世界の最新情報が盛り込まれた調査レポートは、以下からダウンロードできる。

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