ニューヨーク市観光局、日本市場の本格復活へ多様な地域体験を訴求、「ハイインパクト旅行者」狙う戦略を担当者に聞いた

ニューヨーク市観光局(NYC&Company)は、グローバル観光復興キャンペーン「It’s Time for New York City」のもと、日本市場の本格的な復活を目指す。2022年11月中旬には、美術館・博物館、アトラクション、ホテルなど11社の加盟パートナーとともに、旅行業界向けのセールスミッションを開催。さらに、2022年12月1日から2023年3月中旬にかけて、エイチ・アイ・エス(HIS)とパートナーシップを組み、キャンペーンを展開する。

HISは、サイト内にニューヨーク市観光局のランディングページを設け、ニューヨーク市の特集ページを掲載。HISのソーシャルメディアやメールマガジンを通して、キャンペーンの詳細を告知していく。

2023年の日本人訪問者数は約21万を予想

ニューヨーク市観光局では、2022年のニューヨーク市への訪問者数を5640万人と予測。旺盛な国内市場と主に欧州からの旅行者の回復でコロナ前2019年の85%まで回復すると見込むが、日本市場についてはまだ回復途上。キャンペーンを通じて反転攻勢に転じていきたい考えだ。

ニューヨーク市観光局ツーリズム・マーケット・ディベロップメント部門マネージングディレクターのマキコ・マツダ・ヒーリー氏は「日本の海外旅行市場は現在、円安や燃油サーチャージの高止まりなど逆風があるが、まずは旅行目的をはっきりと持っている人たちから動き出す」と話し、2023年の日本人訪問者数を約21万4000人と予測した。海外からの訪問者数は前年比3倍以上の890万人を見込む。

ターゲットとするのは「ハイインパクトトラベラー」

そのうえで、日本市場でターゲットとするのは「ハイインパクトトラベラー」。ヒーリー氏は、その定義として「現地消費額だけでなく、現地コミュニティーをリスペクトして、それぞれの文化を体験してもらえる人。そういう人たちはリピーターにもつながる」と説明した。

そのために、多様性の都市ニューヨークとして、DE&I(ダイバシティ・エクイティ&インルージョン)にフォーカスしたコンテンツを紹介していくとともに、公式ウェブサイト「NYCGO.com」では、新たに多文化コンテンツを常設。「ブラック・エクスペリエンス」「ラティーノ・エクスペリエンス」「アジアン・エクスペリエンス」を立ち上げ、多様な人種が生み出すカルチャー体験を紹介することで、ニューヨークらしい旅行を訴求していく。

また、「ニューヨーカーのように歩く5ボロー(行政区)」として、マンハッタンに加えて、ブロンクス、ブルックリン、クイーンズ、スタテンアイランドでの体験コンテンツも積極的に紹介していく考えだ。

ヒーリー氏は「旅行者にとってもオプションが多様。旅行会社にとっても販売できる素材は多い」として、ニューヨーク観光の多様性を前面に打ち出していく方針を示した。

地域コミュニティーとの協力やサステナビリティも重視

このほか、「地域体験には、地域コミュニティの観光に対する理解が不可欠」(ヒーリー氏)なことから、ニューヨーク市観光局では、啓蒙活動の一環として「ツーリズム・レディ・プログラム」を立ち上げている。これは、観光客の誘致、特に旅行業界との連携を考えているニューヨーク市の企業向けに、ツーリズムの基本を学ぶ無料のトレーニング・アカデミー。営利・非営利を問わず、企業、芸術・文化団体、近隣団体など、あらゆる規模の団体を対象としている。

ニューヨーク市観光局としては、地域コミュニティに対して観光による税収の重要性を伝え、それを地域に還元できるような産業にしていく考え。ヒーリー氏は「訪問者にとっても、サプライヤーにとっても、コミュニティーにとってもウェルカムな観光にしていく。それが持続可能な観光につながる」と話す。

また、利益還元だけでなく、社会的使命としてサステナビリティも重視。例えば、今回のミッションで来日したツアーオペレーター「アマデオ・トラベル・ソリューション」は、植樹への寄付活動「One Tree Planted」を進めており、こうした取り組みを「アーバン・サステナビリティ」として紹介していく考えだ。

11月中旬に開催されたセールミッションにはNYCから11社が来日

新規開業も続々と、さらに進化するニューヨーク

ヒーリー氏は「パンデミック中でもニューヨーク市の観光投資は止まっておらず、さらに進化している」と強調。そのうえで、今回のミッションでは「現地体験を深められるサプライヤーに参加してもらった」と話す。

例えば、パンデミック中に開業した複合商業施設「ハドソンヤード」では、マンハッタンの摩天楼が望める展望台「エッジ」や空中散歩「シティ・クラム」が観光客から人気を集めているという。また、グランドセントラル駅の隣には新たに「サミット・ワン・バンダービルト」がオープン。様々なアート的仕掛けを組み込んだ体験型展望台が話題となっているようだ。

サミット・ワン・バンダービルト(HPから)ホテルでは、ウエストアッパーサイドに滞在型ホテル「ホテルビーコン」が開業。今回のミッション参加社以外にも、「アマン・ニューヨーク」「ハードロック・ホテル・ニューヨーク」「ザ・リッツ・カールトン・ニューヨーク・ノマッド」が今年になってオープン。現在ニューヨーク市には12万4000室があるが、今後2年間でさらに1万室以上が加わる予定だという。

このほか、今秋には新たに19作品のブロードウェイショーが公開。「アメリカ自然史博物館」では2023年2月には科学、教育、イノベーションに特化した「リチャード・ギルダー・センター」がオープンする。

ニューヨーク市観光局では、旅行業界向け割引制度「NYC GO PASS」をオンラインで提供している。これを利用すれば加盟事業者の体験を割引価格で利用することができることから、ヒーリー氏は「これを活用して、ニューヨークの今を自ら見てほしい」と呼びかけた。

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