インド政府、観光促進で寺院改修に多額の資金を投入、巡礼地の開発で大きな経済効果

写真:ロイター通信

インド政府は、多額の費用を投じて、ヒンズー教寺院の建設や改修を進めている。その目的の一つは観光業の促進にある。

2024年1月22日には、モディ首相を迎えて、北部ウッタル・プラデシュ州アヨーディヤで長い歴史を持つとされるラム寺院の落成式が行われた。インド政府によると、この建設に費やされた費用は60億ドル(約8880億円)。このほかに、過去10年間でヒンズー教の巡礼地開発には1億2000万(約178億円)ドル以上が投じられてきた。今後もさらに予算化される計画だ。

年間1億人の観光客を見込む寺院

アヨーディヤはヒンドゥー教の主要な神の1人であるラマの生誕地とされている。一方、16世紀にムガール帝国がイスラム教のバブリ・モスクを建立したことで、宗教論争が絶えず、1992年にヒンズー教徒の暴徒によってそのモスクが破壊された。ラム寺院は、その地に建てられたもの。

ラム寺院には、今後、年間最大1億人の観光客が訪れると推定されている。これは、バチカンの約9000万人、メッカの約2000万人よりも多い。

モディ首相は、2021年に選挙区バラナシでガンジス川岸カシ・ヴィシュワナート回廊にヒンズー教の寺院を建立。以来、1億3000万人が訪れたという。それ以前のバラナシへの年間訪問者数は700万人にすぎなかった。建立による経済効果も高く、バラナシの観光収入は65%も増加した。

インドの観光業の収入は約2000億ドル(約29.6兆円)で、経済全体の約7%を占めている。

2014年にモディ首相が政権に就いて以来、観光省の「巡礼地の刷新と精神的遺産の増強」プロジェクトで予算化された46件のプロジェクトのうち、イスラム教やシーク教の遺跡はわずか6件しかない。 インドの人口14億2000万人のうちイスラム教徒は約14%。そのほとんどがヒンズー教徒だ。

※ドル円換算は1ドル148円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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