日本旅行業協会(JATA)のアウトバウンド促進協議会(JOTC)オセアニア・大洋州部会は、サステナブルな旅行による送客拡大施策をさらに強化する。新たにパラオの商品開発に着手するほか、先行するオーストラリア向け施策では、参画旅行会社を拡大。団体旅行を本格展開する。
同部会では、「持続可能な観光」を新しい旅行のあり方とし、2024年度から付加価値をつけた送客促進に取り組んでいる。サステナブルな取り組みで先進するオーストラリアへの旅行拡大策として、各州政府観光局と連携し、環境保護活動に参加する特別イベントを組み込んだ個人向けツアーを展開。2025年度には、対象ツアーへの参加で現地のサステナブルな取り組みを支援できる商品へと発展させ、共通ロゴマークを掲示するなど、内容や参画旅行会社を拡充してきた。
こうしたノウハウを踏まえ、パラオでは、パラオ政府観光局とともに、自然・環境保護と文化・平和をテーマにしたサステナブルな旅行の提供を目指す。パラオでも共通ロゴマークを作成し、対象となる個人向けパッケージツアーと教育旅行を含む団体旅行に付与環境保護や地域社会への理解を深める機会を、付加価値として送客につなげていく。
群島国家のパラオは、観光と環境保全の両立を推進するデスティネーションとしても注目されている。環境税1人100米ドルの徴収や、世界で初めて環境保護誓約書(パラオ・プレッジ)への署名を求めるなど、責任ある観光推進の先駆的存在でもある。
2025年10月に、日本から週2便の直行便が就航し、アクセスが拡大。環境や平和を学ぶ教育旅行が増えていることから、JOTC教育旅行部会と共同でプログラム開発に取り組む方針だ。
同部会長の秋山秀之氏(日本旅行取締役兼常務執行役員)によると、パラオは最盛期には、人口の約8倍強にあたる約15万人の観光客が訪れていた。しかし、コロナ禍を経て、現在はその3分の2程度で推移している。その一方で、観光消費額は以前より増え、量より質への観光政策の転換が形として表れているという。秋山氏は「入国者から徴収した税をどのように持続可能な投資へ向けているか。観光地経営の視察需要もある」と期待を示した。
オーストラリアは団体旅行を本格化
一方、オーストラリア向けの施策は、2026年度からさらなる拡大フェーズに入る。個人向けツアーの拡充のほか、団体旅行を本格化し、カーボンオフセットプログラムも提供する。
個人向け(募集型企画旅行)では、従来のグレートバリアリーフやブルーマウンテンズ、ロットネスト島に加え、新たにカランビン・ワイルドライフ自然保護区やフィリップ島自然公園を追加。対象期間は2026年10月1日~2028年3月までとし、2027年度も継続できるようにした。参画旅行会社も、2025年度の6社から9社へ拡大する予定だ。
団体向け(受注型企画旅行)では、5社が参画。オーストラリアの気候変動テクノロジー企業「Reforest」と連携し、植樹による森林再生プロジェクトを活用したカーボンオフセットプログラムを提供する。旅行によるCO2排出量を可視化し、植樹エリアを専用ダッシュボードで提示。サステナブル活動証明書も発行する。2026年度はCO2排出量約1000トンの削減(ケアンズ3泊5日、エコノミークラス利用の旅行者500名相当分)を目標としていく。
秋山氏はこれまでの取り組みを踏まえ、「日本では欧米ほど、消費者に環境配慮型ツアーの価値が認められるところまで来ていない。ロングテールで考える必要がある」と先を見据える。その一方、団体旅行に関しては「共通ロゴマークを掲示して環境に配慮した取り組みが示せれば、企業や学校の評価につながる。2、3年後には成果は確実に出ると考えている」と話し、今後の展開に期待を示した。



