
スペイン・カタルーニャ州政府は、32億ユーロ(約5280億円)に及ぶバルセロナ空港の拡張計画を承認した。一方で、この計画は、環境保護団体やオーバーツーリズムに反対する活動家たちから反対の声が上がっている。
このプロジェクトは、スペインの空港運営会社アエナが担当。州政府は承認したものの、欧州委員会にとっては環境保護区付近での拡張計画を支持するかどうかの試金石になると言われている。また、バロセロナ市が観光客数の抑制を打ち出しているなか、この拡張計画はそれに反すると主張する住民も多い。
カタルーニャ州のサルバドール・イジャ州首相は、バルセロナ空港の拡張は、「スペイン政府が限られた富裕層観光客の受け入れに焦点を絞ろうとするなかで、アジアや南北アメリカ大陸からの便数を増やし、人材と投資を誘致する主要拠点にするために不可欠」と述べている。
この拡張によって、空港の年間旅客数処理能力は5500万人から7000万人に増加すると見込まれている。計画では、空港の主要滑走路の1本が500メートル延長。EUの「ナチュラ2000プログラム」で保護されている湿地帯27ヘクタールが影響を受けることになる。その代わりに、計画では周辺地域の約250ヘクタールを緑地とする。
2030年までに着工し、拡張工事は2033年までに完了する予定だ。保護地域については、2028年までに欧州委員会に承認を申請し、同年に回答を得る予定。
スペインは2024年、過去最高の9400万人の観光客を受け入れ、フランスに次いで世界で2番目に人気の旅行先となった。
※ユーロ円換算は1ユーロ165円でトラベルボイス編集部が算出
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