
韓国の済州島が日本からの観光客誘致を強化している。済州特別自治道と済州観光公社が先ごろ、約6年ぶりに都内で旅行業関係者約120名が集った「2025チェジュ観光の夕べ」を開催し、最新情報の発信やネットワーキングの機会を作った。
また、関西圏の出発限定で2025年4月から実施している日本人向けパスポート取得キャンペーンが好評で、関東をはじめとした他地域への拡大も検討されている。火山島ならではの美しい自然や独自の文化に加え、韓国エンターテイメントのロケ地、ウェルネス、クルーズ、トレッキングコースのオルレなど幅広い客層向けの素材も豊富で、需要の拡大に関係者の期待がかかっている。
日本人向けパスポート取得キャンペーンの拡大を検討
成田線の直行便が2024年7月から週3便で再開されたチェジュ。「2025チェジュ観光の夕べ」に登壇した済州特別自治道観光交流局観光政策課課長の朴貞年氏は「文化に基づく観光素材づくりに力を入れていくとともに、(関係者との)協力構築を強化したい」などとあいさつ。韓国観光公社(KTO)日本地域センター長兼東京支社長の金観美氏は、商品造成の支援に加え、5月に旅行会社幹部を対象にチェジュで実施した視察旅行を機に、ファミリー層を対象としたキャンペーンなど協働を進めていることを明らかにした。
東京・首都圏だけでなく、関空/済州線の直行便でアクセス約2時間とより近い関西圏でのプロモーションも大がかりだ。済州特別自治道と済州観光公社は10月31日まで、日本国籍で新たにパスポートを取得した人を対象に、チェジュへの旅行費用の一部として1万円を補助するキャンペーンを実施している。
パスポートを新規取得後、3カ月以内にチェジュ旅行を予約、出発した人が対象で、提携旅行会社は阪急交通社とエイチ・アイ・エス(HIS)。4月の開始時期には、大阪メトロ御堂筋線・梅田駅での大型駅内広告のほか、カフェや韓国関連ショップとのコラボ企画も実施し、盛り上がりをみせた。
済州観光公社によると、「テレビメディアに取り上げられたこともあり、関東地域からも問い合わせが多数ある。内容、時期などを含めて施策の拡大を検討中だ」という。
韓流、サステナブル、クルーズなど幅広い素材武器に
韓国最南端に位置し、従来からの美しいビーチ、世界遺産の漢拏山(ハルラサン)、海鮮グルメ、ゴルフなどの魅力に加え、最近はK-POPのミュージックビデオや映画・ドラマのロケ地、学校や対象浴場など古い建物そのまま活かしてリモデリングしたカフェなど、若い世代向けのSNS映えするスポットも人気だ。
サステナブル・ツーリズムにも力を入れており、2025年の太平洋アジア観光協会(PATA)ゴールドアワードでは、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている「海女文化の保護・活用」が地域コミュニティ型観光優秀賞を受賞した。また、チェジュは日本発着クルーズの寄港も多く、済州の担当者は「CIQやターミナル整備も進めながら、アジアクルーズの主要寄港地としての機能を強化し、誘客を進めていく」などと話した。