
世界大手コンサルティングのEY社は、世界の消費者意識を分析した「メディア・エンターテインメント(M&E)動向調査」を発表した。調査は2025年4月、米国、英国、西欧、アジア太平洋の18~65歳の消費者4000人を対象に実施。世界経済の不確実性が続く中でも、実体験型エンターテインメントへの根強い需要が明らかとなった。
調査結果によると、過去1年間に多く購入されたのは地元のイベントや小規模施設での体験など「ローカルエンターテインメント」(48%)とコンサートやスポーツなどライブ体験など「ライブエンターテインメント」(46%)。21%の回答者が今後1年で支出を増やす意向を示し、特にアジア太平洋ではテーマパーク、米国ではカジノへの関心が他の地域を上回った。テクノロジーの活用については、デジタルチケットや非接触決済などが全世代から高評価を得ており、Z世代はファストパス購入意欲が平均を上回った。
消費者が重視する最大要因は「費用対効果」(59%)であり、コストの高さ(52%)が楽しみを妨げる主な要因となった。一方で、テーマパークやクルーズなどでは半数近くがアップグレードやプレミアムオプションを購入しており、多くが「追加費用に見合う」と回答。アジア太平洋の消費者はプレミアムパッケージ購入率が特に高い。
日本でも同様の傾向がみられる。大型テーマパークのディズニーリゾートやUSJでは段階的な値上げ後も来場者数が回復傾向を維持。優先入場パスやプレミアムアクセスが定着し、沖縄で2025年に開業したジャングリア沖縄でもプレミアムパスやスパ体験が導入されている。
若い消費者ほど、サステナブルな要素に追加費用を支払う傾向
また、世代間の特徴も浮き彫りとなった。
エンターテインメント体験を購入する際、消費者が最も追加費用を支払ってもよいと考えるサステナビリティに関する取り組みは、地元産の食材(69%)と、地域社会への貢献(67%)。若い世代では、すべてのサステナビリティに関する取り組みに対して、さらなる追加費用を支払うことに前向きであるとの回答が26%以上となった。
これらの取り組みには、カーボンオフセット(世界平均12%、Z世代28%、ミレニアル世代16%)、低カーボンフットプリント(世界平均11%、Z世代25%、ミレニアル世代15%)、節水の取り組み(世界平均11%、Z世代23%、ミレニアル世代15%)などが含まれている。
EYでは、一般的に若い消費者が経済的余裕が少ないグループに属しているにもかかわらず、サステナビリティに関する取り組みに追加費用を支払う意欲があるという点は、注目に値するとみている。