
UNツーリズム(国連世界観光機構/UNWTO)は、2025年1月~6月の世界の国際旅行者数が前年同期から約3300万人増加し、約6億9000万人に達したと発表した。
国別のインバウンド旅行者数(国際観光到着数)で見ると、前年比で最も高い成長率を記録したのは21%増の日本とベトナム。このほか、モロッコ(+19%)、韓国(+15%)、マレーシア(+9%)、インドネシア(+9%)、香港(+7%)が好調だった。また、世界ツートップのフランス(5月まで+5%)とスペイン(+5%)も堅調に増加した。
国別の観光収入の増加率でも、トップは日本で同18%増。このほか、スペイン(16%増)、英国(3月まで15%増)、シンガポール(10%増)、韓国(8%増)が好調に推移した。
地域別のインバウンド数を見ると、アジア太平洋は、前年同期比11%増となったものの、2019年同期と比べると92%にとどまった。ただ、北東アジアに限ると同20%増と大きく伸びた。
欧州は同4%増で、2019年同期比では7%増となった。アメリカ大陸では、南米が同14%増、中央アメリカが同2%増となった一方で、北米とカリブ海は前年同期から増減なしだった。
中東は同4%減となったものの、2019年同期比では29%増を記録し、依然として好調を維持している。アフリカは、同12%増で、北アフリカ(+14%)とサハラ以南アフリカ(+11%)とも二桁成長を記録した。
2025年の観光インフレ率は緩和の見通し
観光専門家パネルによる調査によると、2025年の国際観光に影響を与える課題として、交通費と宿泊費の高騰が指摘されている。観光インフレ率は、2024年の8.0%から2025年には6.8%に緩和する見通し。しかし、パンデミック前の3.1%を大きく上回り、全体のインフレ率(4.3%)との比較でも大幅に上回ると予想されている。
専門家パネルは、観光客が引き続き費用対効果の高い旅行を求める一方で、物価上昇を受けて、近場への旅行、旅行期間の短縮、あるいは支出額の削減をおこなう可能性を指摘している。さらに、経済および地政学的緊張による不確実性が、旅行に対する信頼感を低下させる可能性があると警告している。
パネル専門家の約50%が、2025年9月~12月期の見通しについて改善(44%)または大幅に改善(6%)すると回答。一方、33%は2024年と変わらないと予測した。悪化するとの回答は約16%にとどまった。2025年通年では、「改善」および「大幅に改善」と回答した割合は5月の49%から9月には60%に上昇した。