伊勢志摩観光コンベンション機構はこのほど、2025年度事業として「iseshima connect プロジェクト」を立ち上げた。伊勢志摩のインバウンド誘致が目的で、付加価値の高い体験コンテンツ、観光プランの開発、地域連携や人材交流の促進、国内に向けた情報発信強化を図る。
観光を軸に、漁業者・加工業者・土産店の連携による地域経済循環の実証や、宿泊施設の経営力強化支援、異業種との協働を促す「脳動ゼミ」の開催、高付加価値ガイドの育成などを通じて、地域の魅力向上と雇用創出を目指す。
伊勢神宮をはじめ、海と山に囲まれた美しい自然や地域の暮らしを「ひとつの物語」として体験できる旅コンテンツを新たに開発。特に「神宮信仰・真珠・海⼥・伝統産業」などに焦点を当てて魅力を発信するほか、既存プランを刷新しブランドブックを制作する。
地域連携では、より円滑な移動ができるよう、地元タクシー会社3社を中⼼にサービスをおこない、運用スキームを構築。宿泊施設向けには、コンサルティングや経営層へのコーチングを実施する。地域内外の観光産業だけでなく、真珠などの⽔産漁業者や伝統⽂化の語り⼿となる職⼈など、さまざまなバックグラウンドを持った人とのつながりを深めるため、伊勢志摩の地域や観光の課題をテーマにした共創型ワークショップ「脳動ゼミナール」も開催する。
インバウンド誘致では、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、シンガポールを中⼼に海外に向けた発信を強化。⼀部地域では、イベント出展やファムトリップを開催する。
伊勢志摩観光コンベンション機構専務理事の須﨑充博氏は、「単に観光客数を追うのではなく、地域経済への波及効果をもたらす、欧⽶やアジア圏の富裕層、知的好奇⼼を持つ国内富裕層を主たるターゲットとした。まずは国内富裕層向けに展開し、その満足度とネットワークを通じて海外富裕層への波及を図っていきたい」などとコメントしている。
伊勢志摩の観光は、目玉グルメコンテンツの伊勢海老、アワビ、サザエの漁獲量が減少傾向にあるほか、シンボルである海女も資源減少や高齢化が進んでいる現状もある。知的好奇⼼を持つ旅⾏者誘致を通じ、持続可能な観光を実現することが喫緊の課題となっている。


