ANAは、2026年4月1日付で社長に就任する平澤寿一氏と、社長を退任してANAホールディングス特別顧問に就任する井上慎一氏の記者会見を行った。平澤氏は「新たに策定したANAグループ中期経営戦略を実行していくのが私の使命」と話し、国際線旅客事業の拡大、国内線旅客事業のテコ入れ、地方創生などに取り組んでいく姿勢を示した。
ANAは、2026~2028年度中期経営戦略で、2030年度までに国際旅客事業の事業規模を1.3倍に拡大し、国内旅客事業では新機材の導入などによって需給適合を進め、収益性の改善を進めていくことを掲げている。そのうえで、営業利益を2028年度で2500億円、2030年度で3100億円の目標を定めた。
社長交代会見に臨んだ平澤氏平澤氏は、国際線事業について、「40年間育ててきた国際線ネットワークをさらに拡大し、世界でのプレゼンスを一層高めていく」と意欲を示した。また、直近のイラン情勢についても触れ、「さまざまな国際情勢の変化に影響を受ける場合もあるが、適切に情報を収集しながら、必要に応じた対応を取っていく」と説明した。ANAは現在、中東地域への路線は運航しておらず、イラン上空を飛行する路線も設定していないため、イラン情勢による国際線運航への影響はないとしている。
また、2028年度末に予定されている成田空港の機能再強化についても言及。「成長の柱である国際線旅客事業と貨物事業において、非常に大きなチャンス。その機会を最大限活かしていく」と力を込めた。
国内旅客事業については、「近年の環境の変化に伴った課題を抱えている」との認識を示したうえで、 自助努力に加えて、空港グランドハンドリングなど地上業務での共助を進め、国土交通省が進めている「国内航空のあり方に関する有識者会議」での議論を踏まえながら、「地方路線を含めて持続可能なネットワークにたて直していく」と話した。
このほか、地方創生については、「ANAグループを挙げて取り組まなければならない事業」と位置付けたうえで、「さまざまな交通機関や地域と協業し、デジタルの力を使いながら生産性を向上させていく」。二地域居住の取り組みを進めていくとともに、訪日客の地方誘客でもANA国内線ネットワークの活用を促進していく考えを示した。
井上氏、4年間の自己評価は70点
一方、コロナ禍の2022年4月に社長に就任した井上氏は、「異端児と呼ばれたが、前例を鵜呑みにせず、これまでの常識を疑うという私のやり方が、常識が通用しない危機の時代には意外に有効だったように思う」と振り返った。
そのうえで、特に財務体質の健全化と社員のエンゲージメントの向上に注力してきたとし、この4年間を「70点」と自己評価。やり残したこととして「安全運航の徹底」を挙げ、「安全品質の向上は経営の根幹。今後も改善に向けて尽力していく」と話した。



