民泊の現時点での実態、「簡易宿所」扱いする場合の自治体サイドの提言とは? - 京都市や新宿区など

観光庁と厚労省が行ってきている民泊サービスのルールづくりの会合では、1月25日に民泊を旅館業法上の「簡易宿所」扱いをしていく方針を確認した。議論が前進したことで、これから民泊を取り巻く周辺では様々な変化が求められる。なかでも宿泊施設の営業許可を管轄する自治体の役割は大きい。本記事では、25日の会合に参加した京都・新宿区・渋谷区・港区の4自治体が把握する各エリアの現状と、民泊の政令化にあたっての各自治体の提言をまとめた。


京都市 -各地域の特性にあわせた民泊の実現を

京都市産業観光局は、民泊施設の実態を8仲介サイト対象に調査しているところ。そのうちAirbnbに掲載しているホストの実態を中間報告として発表した。それによると、Airbnbに掲載されていた京都市内の掲載件数は2542物件。京都市内の宿泊施設は約3万室となっており、その数を「かなりのボリュームを占めている」とした。

今回の中間発表では、国内の京都府外から運営しているホストが26%、海外在住者が2%と約3割が遠隔からの民泊運営をしている実態も明らかになった。また、施設のタイプでは、戸建てが36%、集合住宅が62%。一泊当たりの料金では、ビジネスホテルなどと肩を並べる6001円から1万2000円が最多帯となり4割。最低宿泊日数では、半数以上が「1泊」となっており、国家戦略特区に認められた6泊7日以上を設定している施設は1%にすぎなかった。

現在、京都市内の宿泊施設稼働率は約9割にも達する。一方、違法な民泊の蔓延で、市内の既存宿泊施設や新規開業を目指す施設の利益が既存されることに懸念を示した。民泊の需要と供給に関しては、「地域性が高い」として、地域によって柔軟な対応ができる枠組みを要望した。

また、実態調査では、多くの民泊仲介サイトでホストの連絡先が記載されていないことから直接連絡が取れないという事態が多く発生したという。これは、予約完了後に住所確認ができる仕組みになっているため。

こうしたことから、京都市はネット仲介業者に対して資料提出など調査協力や法令順守をしていない物件の掲載を削除することを提案。また、Airbnb社の利用規約には法令順守を促す表記の他に、法令上の許可を示す営業番号の表示も有効とした。


東京都港区、新宿区、渋谷区 -急増する苦情、新たな要件を提案

東京都内でも旅館業法関係での相談件数が急増している。港区では、2015年度は昨年末の段階で、2011年と比較して3.5倍となる439件で民泊に関わる相談が増えているという。新宿区、渋谷区でも同様の傾向だという。

相談内容としては、3区ともに近隣住民からのものが主。違法性、防犯面、ごみ処理や騒音などを理由とするものだった。深刻な事例では、窃盗・不法侵入など犯罪行為につながる案件もあり、危機感を募らせている。

こうした際に、3区ともにホストに改善を求めるとき、京都と同様にホストや宿泊者を特定することが難しい状況を説明した。港区は、特に宿泊者の特定では営業者が友人・知人であるという主張をするケースが多いことを明かし、違法性を確認する難しさを訴えた。また、民泊の営業者に簡易宿所の登録を促すことになれば、すべてを取り込むのは困難であろうと指摘。指摘を受けるまで、現状維持をする営業者が相当数になる懸念を示した。

こうした状況をうけて、民泊を簡易宿所として旅館業法に位置付ける場合に3区が主張した提言は以下のとおり。

港区は、2つの解決を図ることを不可欠として提案した。ひとつ目は、賃貸借契約や管理規約に反していないことを許可の要件とすること。ふたつ目は建築基準法、消防法との調整を国において十分に行うことだ。

特に一つ目の賃貸借契約・管理規約に関する点では、現在最も問題となっている点であることを指摘。これを解決しないままに許可取得を促進すると問題を複雑化させるという考えを示した。

新宿区は、旅館業法において5点を適用除外としないことを求めた。「管理者の設置」「管理者の常駐」「衛生・設備の条例化」「感染症拡大への措置」「立ち入り権限・罰則の適用」だ。また、新たに「近隣住民への説明」「管理規約の遵守」「看板の設置」の規定を求めた。

渋谷区は、ホームステイ型とマンションの又貸しなど集合住宅型を整理して考えるべきとの意見だ。

トラベルボイス編集部 山岡薫


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