トリップアドバイザーのBtoB戦略とは? 日本で拡大を狙うパートナーシップ事業を責任者に聞いてきた

旅行者の意思決定に大きな影響力を持っている世界最大の旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」。同社はその強みをパートナーシップという形でB2Bでも生かしている。

「トリップアドバイザーは世界中で多くのユーザーを持っている。旅行者だけでなくパートナー企業にもその価値を提供できる」。そう話すのは、同社アジア太平洋地区パートナーシップ・ディレクターのアーロン・ハン氏。同社のパートナーシップ戦略や日本での取り組みを聞いてみた。

パートナーシップ事業の収益性は先の話

「パートナーとのウィン・ウィンの関係を築くこと」。ハン氏はトリップアドバイザーのパートナーシップ事業についてそう説明する。

この事業を可能にしているのが、言うまでもなく同社が持つ圧倒的な情報量とユーザー数だ。現在、宿泊施設100万軒以上、レストラン400万軒以上など全体で650万軒以上の登録施設数があり、28言語48カ国で展開中。ユーザー数は世界で月間3億5000万人、クチコミは毎分230件にもおよぶ。今では単なるクチコミサイトを超えて、存在感を増している。

しかし、ハン氏は「この事業で得られる収益は先の話になるだろう」と話し、広告など掲載料の収益源はあるものの、「現時点でのキーファクターにはなっていない」と明かす。主眼は、相手のユーザー層をサポートし、同時にトリップアドバイザーのユーザー層に役立つ関係を構築すること。同社は2014年にサンフランシスコベースのアクティビティー予約サイト「ビアター」を買収するなどグループ会社を拡大させているが、パートナーシップ事業はその戦略とは違うビジネスアプローチで進めている。

日本でもインバウンドで自治体とコラボ

トリップアドバイザーは日本でもパートナーシップ事業を強化している。ハン氏は、その実例としてまず「ぐるなび」とのパートナーシップを挙げ、これにより「世界中の旅行者が日本への旅行前に、あるいは旅行中に日本のレストランの情報を簡単に入手できるようになった」とウィン・ウィン関係を強調する。

同社では、情報収集だけでなく、予約までの動線を提供している。ハン氏は「この成功例によって、トリップアドバイザーとの提携に興味を持っている企業は増えた」と自信を示す。

また、企業に加えて地方自治体とのパートナーシップにも積極的だ。そのひとつが三重県との連携。外国人旅行者の三重県に対する認知度と旅行満足度の向上を目指した「外国人おもてなしプロジェクト」によって、インバウンドも含めた全体の三重県の旅行満足度は、47都道府県中44位から20位まで上昇したという。

このほか、東京都交通局とのパートナーシップでは今年4月から東京の人気スポットをクチコミで決めるキャンペーン「TOKYO100」を共同で始めている。定番観光地だけでなく、穴場スポットや隠れた名店などをクチコミによって掘り起こすことで、都営交通利用者の訴求とクチコミ投稿を促進していく企画だ。

ハン氏は、日本ではインバウンド市場の拡大に力を入れていることから、「多くの地方自治体からも提携の話をもらっている。今後もこうしたパートナーシップは増えていくだろう」と期待を寄せる。

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オンラインでもオフラインでも有益なビックデータ

メタサーチ機能を強化することで、予約への動線を充実させているトリップアドバイザーにとって、OTA(オンライン旅行会社)も重要なパートナーだ。OTAとの関係構築は同社コマースチームの管轄としながらも、ハン氏は「OTAもクチコミを大切にしている。OTAでトリップアドバイザーのコンテンツが見られれば、ユーザーはそのサイトで多くの時間を過ごすことになり、その結果、予約に結びつく機会も増える」とコメント。トリップアドバイザーの役割は、「旅行者にOTAを紹介する機能であり、また旅行者の意思決定を手助けすることだ」と強調した。

一方、トリップアドバイザーが持つコンテンツの有益性はオフライン事業者にとっても同じだ。「トリップアドバイザーの情報を使いたいというオフライン事業者も増えている」という。マーケティングでも、商品訴求でも、同社が蓄積する消費者動向のビックデータは貴重。ハン氏は「トリップアドバイザーの知名度は世界的に高く、その評価はグローバル基準になりつつある。トリップアドバイザーとのパートナーシップによって消費者の信用度は上がるはずだ」とアピール。

今後も日本の企業や自治体との協業を積極的に展開していきたい考えだ。

聞き手 トラベルボイス編集部 山岡薫

記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹



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