日本旅行業協会、「世界の海外旅行再開で、日本だけ遅れる事態は避けたい」、ロードマップ策定を政府に要請へ

日本旅行業協会(JATA)は2021年7月8日に記者懇談会を開催し、コロナ禍における業界の現状と旅行市場の復活に向けたJATAの取り組みを説明した。

このなかで、海外旅行の取り組みを説明したJATA副会長(海外旅行推進委員長)の菊間潤吾氏(ワールド航空サービス代表取締役会長)は、ワクチン接種が進む国で旅行再開の動きが進んでいることを踏まえ、各国の海外旅行再開に向けた取り組み状況を紹介。すでに米国や英国、カナダなどが日本に対して入国制限の解除や、ワクチン接種証明書または72時間以内の陰性証明書の提示で隔離なしの入国を許可している。

菊間氏は「ワクチン部分接種率が30~40%を超える頃から、各国は観光再開のロードマップを示し、徐々に制約の解除をしはじめている」と、世界の動きを解説。これに対し、「日本が再開のロードマップや指標を示していないのが気になる。世界が海外旅行を動き出したころ、日本だけが遅れているという事態は避けたい」と述べ、JATAとして政府に働きかけていく考えを示した。

観光再開に向けたロードマップや指標を世界に示すべき理由は、各国が観光再開の計画を立てる際に必要になるからだ。例えば、航空会社は各国の状況を見ながら路線の調整をしていくが、観光再開の基準が示されていなければ計画のしようがない。現在、JATAでは各国大使館や政府観光局、航空会社の本国トップなどと、観光再開に向けた議論を行っているが、その場でも日本のロードマップや指標を求める声があるという。

また、旅行会社がツアーを再開する場合も、その前に現地視察で現地の状況を把握するなどで「準備に半年のリードタイムが必要」と説明する。日本の国際往来を阻む壁には大きく(1)帰国後14日間の隔離措置と(2)感染症危険度レベル3の発出の2つがあるが、菊間氏は「これらが解除されたからといって、すぐに旅行が再開できるわけではない」と説明した。

現在、JATAでは海外旅行の再開に向け、JATAとしてのロードマップを想定。年内の日本国民80%の接種完了を見据え、第4四半期(2022年1月~3月ごろ)ごろに部分的な海外旅行再開が始まるとみている。会員各社にはこれを踏まえた海外旅行の準備をするように促していく。

これにあわせ、コロナ後の海外現地情報の変化をはじめ、世界のツーリズムの潮流などをテーマにした、会員向けのセミナーを開催する予定。特に菊間氏が重視しているのは、コロナ後の新しい旅のあり方の中核として世界で捉えられつつある「サステナブルツーリズム」だ。

菊間氏によると、コロナ以前は「海外旅行の送り手としては、サステナブルを考えてこなかった」。しかし、「観光は旅先の自然や街並み、伝統文化などをそこに住む人とシェアすること。それを一方的に消費する形でツアー運営をすべきではない」とし、マスツーリズムとサステナブルツーリズムの共存共栄など、会員各社に様々な捉え方を案内するセミナーを行う予定だ。「コロナ後の正しい観光の発展と、これまでとは違う真に新しい旅の形は何かを考えて推進していかなければない」との考えも示した。

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