NTT西日本ら11社が「観光まちづくり」新会社を設立、福井県三国湊を「町まるごとオーベルジュ」に、10棟の町屋ホテルを整備、2024年1月開業

NTT西日本は、福井県坂井市三国湊エリアの観光まちづくりを推進する新会社「Actibaseふくい」を、パートナー10社とともに設立した。観光が地域経済に与えるインパクトが大きいことから、観光を軸とした持続的で自立可能な「地域循環型モデル」の創出を目指す。

参画する企業は、NTTアーバンソリューションズ、熊谷組、住友林業、福井銀行、福井信用金庫、セーレン、福井新聞社、福井放送、フクビ化学工業、北陸電力。

「Actibaseふくい」の事業の柱は4つ。まず、宿泊運営事業では、町中500メートルの範囲で町屋10棟を宿泊施設に改修し計18室を設け、町の中心にあるNTT局舎を宿泊フロントとしてリニューアルすることで、分散型ホテルを整備する。

料飲事業では、町屋を改修してレストランを開業する。フレンチ料理のスターシェフ吉野健氏を招聘し、三国湊の食材を活用した料理を提供。宿泊施設と合わせて「町まるごとオーベルジュ」を運営していく。

アクティビティ事業では、坂井市と連携しながら、北前船で栄えた地域の歴史文化や自然を味わえる体験を開発。福井県内の観光スポットを巡る周遊も創出していく。

さらに、町並み整備事業も推進。坂井市との協力で、町の魅力を活かせる統一感のある景観を作り出す。この取り組みでは、北陸電力の協力で、電柱の再整備も行う計画だという。

宿泊施設の改修工事は2月から開始し、2024年1月の開業を目指す。国内外の富裕層をターゲットとし、宿泊費は1泊5万円程度と想定。年間1万人、1日数十人の集客を目論む。Actibaseふくいの樋口佳久社長は設立発表会見で「ラグジュアリーな空間で暮らすように滞在し、町の人とも交流することで、町に溶け込むような旅を提案していく」と意気込みを示した。

2024年春には北陸新幹線が金沢から敦賀まで延伸することから、その沿線にある坂井市も観光に寄せる期待は大きい。坂井市の池田禎孝市長は、Actibaseふくいの取り組みを歓迎する意を示したうえで、「市民と一緒にプロジェクトを成功させて、三国湊エリアを日本を代表する観光地域にしていきたい」と期待を込めた。

町屋ホテルのイメージ(NTT西日本プレゼン資料から)アプリでデータ収集や分析、観光を起点とした地域課題解決も

福井県北部の坂井市三国湊地区は、江戸時代から明治時代にかけて「北前船」の寄港地として栄えたことから、 歴史的・文化的観光資源が多数存在。世界的にも有名な東尋坊や永平寺を周遊できる位置にある。

NTT西日本の森林正彰社長は、観光まちづくりプロジェクトの地域として三国湊を選んだ理由について、観光の魅力や周遊環境に加えて、「(観光に対する)地元の人たちの思いが強く、地元企業や自治体の協力意識も強い。発展の機会がある」と説明した。

NTT西日本は、持続可能な観光地経営に向けて、タビマエからタビナカ、タビアトまでICTを活用したサービスを提供していく考え。具体的には旅行者向けのアプリを開発し、観光・交通情報の提供、予約機能、道案内機能などをカスタマイズ。そこから動向データを収集・分析し、新たな観光コンテンツの開発やリピーターの創出に繋げていく。「新会社、地元の自治体、DMO、観光事業者と旅行者をICTでつなぎ、観光によるまちづくりを進めていく」(森林氏)考えだ。

また、観光振興だけでなく、二次交通、脱炭素、決済、越境ECなど観光事業を起点とした地域課題の解決にも重層的に取り組んでいく。

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