定額多拠点生活「アドレス」、会員と地域住民つなぐ新事業を発表、来春には海外在住日本人の空き部屋提供も

定額制多拠点生活プラットフォームのADDress(アドレス)は、今年創立5周年を迎え、新たなステージに進む。サービスコンセプトを「多拠点コミュニティサービス」に変更し、新たに「コミュニティプラン」の販売を開始したほか、2024年春からは海外展開も始める。

ADDress社長の佐別当隆志氏は戦略発表会で、「コロナ禍でライフスタイルや旅行のスタイルが変わってきた。どこで何日滞在したかよりも、誰と、どのような時間を過ごしたかが重視されている」と話し、「コミュニティプラン」導入の背景を説明した。

同社の会員や家守(物件管理者)のコミュニティでは、これまでにも、多拠点居住だけでなく、さまざまな交流が行われてきた。趣味の会員同士が集まる「部活」は37部に広がり、会員が株主になるコミュニティラウンドでは開始から3日目で9930万円を集めた。

「コミュニティプラン」では、そうした会員・家守のネットワークと地域との繋がりを強化していく。家守に加えて、新たに地域の人たちとの交流機会をつくり出す「街守」を設けた。「地域の人とつながるうえで、大切にしたことはシンプルにその人たちと食事をすること」と佐別当氏。街守は、その場を創出するとともに、ADDressのオンラインコミュニティ「ADDress+(アドプラ)」で地域情報を発信するほか、地域イベントや食事会などを告知し、募集を行う。

コミュニティプランでは、宿泊ではなく日帰りが中心となるため、月額料金を980円と低価格に設定した。各地の食事会、部活動、アドプラへの参加権が含まれるほか、累計6ヶ月ごとに1泊分のチケットを付与し、宿泊機会を提供することで、多拠点居住にもつなげていく。

同社では現在、多拠点居住では、月額9800円のチケット2枚から9万9800円の30枚まで5種類のプランを用意している。

佐別当氏は「旅行と生活との境界線が曖昧になっている。旅の動機も、従来の非日常体験から、地域との出会いを重視する『異日常』体験になっている」と説明。同社の調査でも、総予約数に占めるリピート予約比率は62.7%で、同じ地域に通う傾向が見られるほか、「心の拠り所ができた」割合もほぼ半数(48.3%)にのぼるなど、ADDress利用によって幸福感の変化も現れているという。

佐別当氏は「認知度の低い地方への訪問者を増やし、地域の日常を価値にし、関係人口も増やしていく」と強調。地域の拠点ネットワークをハブ・アンド・スポークのように広げていき、地域と会員のネットワークで需要と供給が拡大していく自律成長型モデルの構築を目指す。

新たな戦略を発表する佐別当氏。海外在住日本人の空き部屋提供へ

海外展開については、海外在住日本人と日本人海外旅行者とのマッチングプラットフォーム「LOCOTABI (ロコタビ)」との連携で進める。海外在住のLOCOTABI登録者が家守となり、国内のADDress会員向けに空き部屋を提供する。佐別当氏は「同じ日本人同士であるため、安心して宿泊することができる」と、そのメリットを説明した。

2024年春のサービス開始に向けて、すでにハワイ・オアフ島、英国のサザンプトン、イタリアのミラノやローマ、ドイツのミュンヘン、台北、マレーシアのクアラルンプール、オーストラリアのメルボルンなど8カ国14地域15拠点が確定。加えて、現在のことろ候補エリアは30カ国にのぼるという。佐別当氏は「海外の家守の反響は大きい。1年間で100~200件に物件は広がるのではないか」と自信を示す。

また、日本人海外旅行者数は現在、コロナ前の50%にも満たず、回復が遅れているが、佐別当氏は「ADDress会員のなかには、国内のように海外にも移動したいと考えている人はいる。民間が主導して海外旅行の需要を喚起していく」と話し、来春のサービス開始に向けて意気込みを示した。

戦略発表会ではトークセッションも開催。(左から)鶴巻温泉A邸家守の山口修平さん、静岡市用宗街守の星野晴香さん、佐別当氏、ADDress会員の増田晴香さん。

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